食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

遺伝子だけではない:遺伝子以外の問題がマウスの発ガンリスクを2倍にする

It's not all genetic: Common epigenetic problem doubles cancer risk in mice
24-Feb-2005
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2005-02/jhmi-ina022105.php
2月24日のサイエンスオンライン版に、慶応大学医学部とスウェーデンと米国の研究者チームによる一種類のタンパク質の量が二倍になることでガンを誘発する遺伝子変異による発ガンリスクが二倍になることを発表した。
インスリン様成長因子(IGF)2はゲノムインプリンティングといわれる現象により、母親由来の遺伝子は発現しない。しかしこの母親由来の遺伝子である「印」がないと、母親由来の遺伝子が発現して細胞内に通常の二倍のタンパク質ができる。結腸の上皮細胞にポリープを誘発するAPC遺伝子の変異をもつマウスと、IGF2のインプリンティング欠損マウスを掛け合わせてIGF2タンパク質が二倍あるAPC変異マウスを作成したところ、IGF2タンパク質が正常量でAPC変異のあるマウスの二倍の数の腫瘍を生じた。
ヒトにおいてもIGF2のインプリンティング欠損は10%程度で見られる。
Loss of Imprinting of Igf2 Alters Intestinal Maturation and Tumorigenesis in Mice
Takashi Sakatani, Atsushi Kaneda, Christine A. Iacobuzio-Donahue, Mark G. Carter, Sten de Boom Witzel, Hideyuki Okano, Minoru S. H. Ko, Rolf Ohlsson, Dan L. Longo, and Andrew P. Feinberg
Published online February 24 2005; 10.1126/science.1108080 (Science Express Reports )

(ちょっと趣味 発がんメカニズム 生き物は面白い、遺伝子だけではわからないことがたくさんあって、という話。)



ODS  Office of Dietary Supplements 米国