食品安全情報blog過去記事

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食品中のカドミウム

Risk in Brief Issue No. 26 : Cadmium in Food
21-02-2006
ttp://www.fehd.gov.hk/safefood/report/cadmium/index.html
はじめに
1.カドミウムは地表に天然に存在する金属元素である。工業用にも使用されておりヒトの活動でも環境中に放出される。
2.非喫煙者の場合は食品が主な摂取源である。動植物や魚介類が環境中からカドミウムを取り込む。しかし喫煙者の場合、タバコが重要な暴露源である。

カドミウムの毒性
1.動物実験ではカドミウムの急性中毒は消化管に傷害をおこし、肝・心・腎機能に影響する。しかし食事由来のカドミウムで急性毒性が起こることは考えにくい。
2.慢性毒性では最も影響を受けやすいのは腎である。尿細管機能障害による尿中への蛋白質アミノ酸・糖の異常な排出がヒトで観察されている。
3.JECFAによるカドミウムのPTWIは7 microg/kg体重である。PTWIは生涯取り続けてもリスクがないと推定される量で、一時的に超過しても健康に問題はない。
4.IARCはカドミウム及びカドミウム化合物についてヒト職業暴露による充分な証拠があるとして発がん性グループ1に分類している。しかしカドミウムの経口摂取では遺伝毒性はなく発がん性も無いようである。

香港での研究
1.食物環境衛生署FEHDは2002年に中学生の食事からの重金属暴露について調査し、平均及び高摂取集団でのカドミウム摂取量を2.49及び5.71microg/kg体重/週との結果を得た。これはいずれもJECFAのPTWI以下であり、健康に悪影響はないと考えられる。
2.カドミウム摂取量に最も寄与率が高いのは魚以外のシーフードで33%、次いで穀物及び穀物製品27%と野菜17%である。

規制
1.香港では食品中のカドミウム規制値は野菜や穀物については0.1 ppm、魚・カニの身・カキ・エビは2ppm、動物や鳥肉は0.2ppmである。
2. FEHDは食品中重金属の定期的調査を行っている。規制値を超えた食品を販売した場合、5万ドルの罰金と6ヶ月の禁固刑が科せられる。

業者への助言
GAPに従うこと、信頼できる業者から購入すること、加工する前に良く洗うこと。

消費者への助言
食品は疑わしい業者からは購入しないこと、調理する前に食材も手も良く洗うこと、バランスの取れた食生活を心がけること。


EurekAlert(http://www.eurekalert.org/)より