食品安全情報blog過去記事

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ソフトドリンク中ベンゼンレベルについての文書

Letter Regarding Benzene Levels in Soft Drinks
March 21, 2006
http://www.cfsan.fda.gov/~dms/benzltr.html
環境ワーキンググループEWGの上席副代表Richard Wiles氏が2月28日付けでFDAに送付した文書に対する回答。EWGはアスコルビン酸と安息香酸を含むソフトドリンクについてベンゼンが含まれる可能性があると一般向けに警告を出すこと、ソフトドリンク中のベンゼンの検査結果を公表することを求めていた。文書はCFSANに回された。
EWGは1990年からFDAがソフトドリンクにベンゼンが含まれることを知っていながら一般には情報を隠して製造業者に任意の問題解決を促したと主張している。EWGはソフトドリンクにベンゼンが存在することは「明白な健康への脅威」だとしている。しかしソフトドリンクにベンゼンが数ppbレベルで含まれることが何故「明白な脅威」なのかについての理論的説明はない。FDAもカナダの健康担当局も、これら製品中の僅か数ppbの濃度のベンゼンが健康上の脅威となるとはならないことで同意している。
1990年頃、FDAはソフトドリンク業界から、発ガン物質であるベンゼンが安息香酸とビタミンCを含むある種の飲料中でppbレベルで生じる可能性があるという情報を得た。
ある種の製品にはベンゼンが存在することを知り、FDAと業界はベンゼン生成に関与する因子についての研究を行った。その結果息香酸とビタミンCの存在下で高温と光があるとベンゼン生成が促進され、砂糖やEDTAがベンゼン生成を抑制することがわかった。EWGがFDAは情報を隠したと主張しているが、FDAはこの結果を1993年に発表している。この結果では検出されるベンゼンの量は僅かであることと、安息香酸やビタミンCを含まない食品にもしばしばベンゼンが検出されることを示している。さらに早く1992年にはカナダ保健当局が果物やフルーツジュース、ソフトドリンク、安息香酸を加えていないソフトドリンクの調査結果を発表している。カナダの結果はFDAの結果と一致している。
2005年11月にFDAは安息香酸とビタミンCを含む少数のソフトドリンクから低濃度のベンゼンが検出されたとする民間試験室の結果を受け取った。この結果の追跡のためFDAは安息香酸とビタミンCを含む製品を集中的に集めて解析し始めた。
現時点で入手できる結果からはほとんどの飲料にはベンゼンは含まれないか検出限界の5ppb以下であり、安全上の懸念はないことを示唆している。
EWGの文書は安息香酸とビタミンCを含む製品のリストを提示し、これが飲料業界がベンゼンを生成する可能性のある化学物質の組み合わせを排除していない証拠だとしている。しかしながら製品中に安息香酸とビタミンCが含まれることがベンゼンが含まれるという結論を導かないことを認識すべきである。実際FDAの解析では安息香酸とビタミンCを含むほとんどの飲料にベンゼンは含まれないか検出限界の5ppb以下である。
FDAは現状を適切に反映するデータを得るため、さらに検体採取を続ける。市場の状況が理解できたら結果は公表予定である。予備的データからは安全上の懸念はない。さらにFDAは製造業や貿易業界と連絡を取っている。業界もベンゼンの有無について評価を行っており、もし濃度の増加が検出されれば適切な削減手段を講じるとしている。
FDAも最初の調査でベンゼン濃度が高かった製品のフォローアップを行う。飲料調査が終了すれば公衆の安全を守るために追加の措置が必要かどうかを決定する。



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