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競争的食品防御研究報告書2005要約

Summaries of Competitive Food Defense Research Reports, 2005
June 2006
http://www.cfsan.fda.gov/~dms/defres05.html
各種食品の脆弱性評価を行った際、いくつかの疑問が提出された。化学剤や生物剤が食品の水溶性画分に分配するのか脂溶性画分に移行するのか、熱や紫外線安定性はどうか、経口毒性は、殺菌剤は有効なのかなどである。こうした疑問についての研究結果の要約が提示されている。


乳製品
・ 最小限のミルク滅菌時間/温度ではアブリンの検出性や毒性には影響がない
・ アルファアマニチンとリシンはミルクの水層に、T-2毒素はクリーム部分に分配する
・ アコニチン・ニコチン・ストリキニーネは水層とクリーム層両方から検出される
・ 亜ひ酸ナトリウムの経口毒性は二回に分けて投与しても減らない


フルーツジュース
炭疽菌芽胞の数をリンゴジュース・クリアオレンジジュース・カルシウム添加オレンジジュースで5-log減らすにはそれぞれ最低79.4°C で127-180分、85°C で26-31分、90°C で8-9 min加熱する必要がある。
シガトキシン1及び2はフルーツポンチに入れた場合pH 2-9で安定であるが生物活性は中性より酸性pHでより失活する
・ 野兎病菌生ワクチンは熱感受性で従って通常の殺菌工程で死ぬ
大腸菌O157:H7の削減用熱処理で偽結核エルジニア菌も減る。
・ 各種pHのフルーツポンチ中でのアコニチン・コルヒチン・ストリキニーネ・モノフルオロ酢酸・硫酸ニコチン・亜硝酸ナトリウムの分解は限られた条件でのみ起こり、通常数日かかる
・ シアン化ナトリウムや亜ひ酸ナトリウム・亜硝酸ナトリウムをフルーツジュースに入れると色が変わるがストリキニーネやモノフルオロ酢酸では色は変わらない。水やジュースに毒物を入れた場合導電率が変わることが指標になる
・ 偽結核エルジニア菌は大腸菌K12より紫外線耐性は低い
・ ピクロチンとピクロトキシニンは酸性リンゴジュース中では通常の加工温度で非常に安定であるがアルカリ溶液中では速やかに分解する


乳児用ミルク
・ 野兎病菌生ワクチンは熱に弱く通常の殺菌工程で死ぬ。
・ リシンは熱安定性が高く通常の殺菌条件では完全には失活しない。スプレードライでも失活しない。


水:ビン入り及び加工用
・ カーボン又は樹脂フィルターでストリキニーネ・コルヒチン・硫酸ニコチンはある程度除去される。カーボンフィルターは除去量が僅かに多く樹脂フィルターは速い。
大腸菌O157:H7の除去にはPolycap 36 HD と Polycap 36 ASフィルターカプセルが最も有効であるがサルモネラの除去効率は低い


殺菌剤
・ 塩素漂白剤・二酸化塩素・オゾンは水中の、又は表面に付着したブドウ球菌エンテロトキシンB を分解できる。一定濃度の塩素漂白剤と二酸化塩素は水中又はステンレススチールやテフロン表面のアルファアマニチンを5分以内で分解する
・ 酸性亜塩素酸ナトリウムは類鼻疽菌代用菌の緑膿菌を新しいベルトの汚染表面から効果的に除去する。古いコンベヤ用ベルトでは効率が低下する。



CDC 米国