食品安全情報blog過去記事

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過剰な紫外線の健康影響

Health consequences of excessive solar UV radiation
25 JULY 2006 | GENEVA
http://www.who.int/mediacentre/news/notes/2006/np16/en/index.html
WHOの報告書によれば、太陽からの紫外線による特定のガンを含む健康影響が少なくないことを示している。紫外線を浴びすぎることにより世界中で年に6万人が死亡し、そのうち48000人が悪性黒色腫で12000人が皮膚ガンによると推定される。全体で150万障害調整生存年以上が毎年過剰な紫外線暴露により失われている。
紫外線の悪影響としては悪性黒色腫悪性黒色腫以外の皮膚ガン(扁平細胞ガンと基底細胞ガン)・日焼け・皮膚の加齢・白内障・翼状片・口唇ヘルペス再活性化・稀な目の扁平細胞ガンを挙げている。一方紫外線にはメリットもあり、主にビタミンD合成である。ビタミンD合成に必要な紫外線は少なく、過剰に浴びることには危険性の方が大きい。
報告書は以下から
Global Burden of Disease of Solar Ultraviolet Radiation http://www.who.int/uv/publications/solaradgbd/en/index.html



IARCのCI5 updated databaseより
地域 人口10万人あたりのメラノーマ発症率(年齢調整発症率ASR)、患者数 男性 (女性)
(0-85才)(1993-1997)


オーストラリア、南      48.26、 2343  (43.0、  2214)
USA, ハワイ 白人       34.40、 360 ( 23.1、 222)
USA, ハワイ 日本人      0.80、 11 (1.7、 20)
USA, ハワイ ハワイアン    2.37、 12 (2.0、 10)
USA, ハワイ フィリピン人   1.48、 10 (0.5、 3)
USA, ハワイ 中国人      1.29、 3 (0.4、 1)
日本、山形県          0.35 、21 (0.5、 35)
日本、長崎市          0.56、 8 (0.3 5)
スイス、ジュネーブ       17.11 、 228 (12.4、 191)
英国、イングランド、ヨークシャー 5.25、 654 (7.3、 956)


日本人はオーストラリアの白人の100分の1くらいしかメラノーマにならない。しかもそのメラノーマの場所で一番多いのは日光に当たらない足の裏とか手の平。
紫外線によるメラノーマについてはあんまり心配しなくていいと思う
オーストラリアやハワイの移住していった白人はしょうがない。


ついでだから人口10万人あたりのガン患者の数(年齢調整発症率ASR)0.5というのがどういう数字かというと:
全ガンのASRが男性だと日本に住む日本人で300くらい 米国では人種と地域によって差が大きくて300-500。欧米人400くらい。
女性になると全体がそれぞれ100くらい減る。
日本人が欧米人より多いのは何と言っても胃ガンで男性7-80女性30くらい。欧米人の7-8倍になる。胃ガンについてはハワイに移住した日本人が欧米人と同様になるので食習慣の問題が大きいと言われてきた(感染症の寄与もあるが)。これはメラノーマの人種差とはパターンが違う。
伝統的日本の食生活が胃ガンになりやすいのは多分間違いなく、単純に和食が健康にいいとか主張するのはどうかと。胃ガンは近年は減ってきたので日本の現代的食生活(世界中の多様な食材を多様な調理方法で偏り無く)が現在考えられるベストだろう。