食品安全情報blog過去記事

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2006年10月12日の会合の議事録

COM Meeting 12 October 2006
http://www.advisorybodies.doh.gov.uk/com/mut063.htm
・金属人工関節についてMHRAから意見が出されたこと
・ベンズイミダゾール類のチューブリン結合共通メカニズムについて
・COCの比較リスクアセスメント更新
・エタボキサム部分レビュー(後述)
・メチル化状態の役割:メチル化の経代影響
・遺伝毒性アルキル化剤に用量反応の閾値は存在するか?
・ホライゾンスキャニング−混合物の評価など
・末梢血の染色体異常や小核形成に影響するリスク因子
・In vivoラット肝UDS試験とラット肝コメット試験の比較
・その他
など

アクリルアミドに関する声明
STATEMENT ON ACRYLAMIDE
February 2007
http://www.advisorybodies.doh.gov.uk/com/acryla.htm
アクリルアミドの生殖細胞変異原性についての助言要請
COM議長からHSEへの文書
HSEからの質問に答える
i) 新しい証拠はアクリルアミドが生殖細胞に変異原性があることを確認するものか?
アクリルアミドは男性生殖細胞の変異原性物質であることはほぼ間違いない。
女性生殖細胞に対しても変異原性がある可能性がある。
ii) エンドポイントに閾値はあるか?
ない。アクリルアミドの生殖細胞変異原性誘発メカニズムは完全にはわかっていない。アクリルアミドのグリシダミドへの代謝が変異原性誘発に重要なステップであることを示す証拠はある。アクリルアミドやグリシダミドが誘発する突然変異に閾値があるということを支持する根拠はない。COMは染色体異常誘発性のある物質についてはデフォルトのアプローチとして閾値がないとみなすことを薦めている。
iii) 体細胞及び生殖細胞の変異原性はどちらもアクリルアミドがエポキシドであるグリシダミドに代謝されることによるものであることを示す十分な根拠はあるか?
生殖細胞も含めて、アクリルアミドのin vivo変異原性にはグリシダミドが重要な代謝物であるということが示唆されている。
iv) ヒトが齧歯類よりアクリルアミドをグリシダミドに代謝する量が少ないという十分な証拠はあるか?ヒト健康リスクについてはどうか?
全体としてマウスはヒトより多くアクリルアミドを代謝するがラットについてはヒトと同程度のようである。これらのデータからヒト変異原性リスクは予想できない。このような閾値のあることを仮定するには十分な情報がない場合のCOMのデフォルトのアプローチは閾値がないとみなすことである。
v) 生殖細胞変異原性に閾値がないとみなすと、代謝の種差 も考慮した上で、リスクアセスメントの基本としての容量反応相関や毒性学的参照点についてはCOMはどう考えるか?Allenの論文では変異原性の閾値として生殖細胞と体細胞の変異原性をあわせたものを導出している。このデータではアクリルアミドの変異原性は体細胞より生殖細胞で強いことを示しているが、このアプローチは適切か?他にリスクアセスメントに使用できるアクリルアミドの生殖細胞変異原性についてのしっかりした用量反応データはあるか?そのようなアプローチにおける不確実性は何か?
COMのメンバーはAllenの用いた用量反応モデル作成方法には問題が多いと考える。この論文を根拠に遺伝毒性の強さについて結論するのは時期尚早である。
リスクアセスメントのためにアクリルアミドの変異原性データを使用することにはあまりに多くの不確実性がある。COMのデフォルト推奨は、閾値がないとみなすことである。


エタボキサム部分レビューに関する声明
STATEMENT ON PARTIAL REVIEW OF ETHABOXAM February 2007 http://www.advisorybodies.doh.gov.uk/com/ethabox.htm
COMは新しい農薬成分エタボキサムのin vivo染色体数異常誘発試験について、接触部位でのリスクに関する意見を求められた。COMの目標は染色体数異常誘発についての適切な試験戦略を考察することである。
エタボキサムの抗真菌活性は真菌の細胞骨格に影響しチューブリンサブユニットの結合阻害にあると考えられる。Amesやマウスリンパ腫試験では変異原性はない。In vitro細胞遺伝学的及び末梢血小核試験は陽性と考えられるが骨髄MN試験ではマウスとラットで陰性の結果もある。細胞分裂促進作用はない。またラット28日間皮膚毒性試験で有害影響は認められなかった。
染色体数異常誘発性の指標として倍数性の評価が必要であろう。NOELを設定するための適切な用量反応データが必要である。In vivoでの接触部位におけるエタボキサムの染色体数異常誘発性の評価は、現時点の知識では困難である。エタボキサムについての規制上の決定にはマウスにおけるin vivo骨髄小核試験結果が重要であろう。