食品安全情報blog過去記事

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DEFRAの研究は「持続可能な消費」の課題を明らかにする

DEFRA study highlights challenges of “sustainable consumption”
4th February 2007
http://www.mbs.ac.uk/news/04-02-2007.htm?rssHP
環境問題に関心のある消費者は、地元の有機食品を購入することが環境負荷を最小化することだと信じているかもしれない。しかしDEFRAの援助でマンチェスタービジネススクールが作成した報告書によれば、そうではないかもしれない。
この報告書「食品製造と消費の環境影響The Environmental Impact of Food Production and Consumption」では農場から食卓までの食品の製造に関する環境影響を考察している。
報告書の知見は以下のようなものである
・ オーガニック食品の環境への良い影響は明白ではない
・ 地元のものを買うことの方が世界中からのものを買うことより環境上好ましいことを示す明白な根拠はない。食品によってはむしろ輸入品の方が環境によい
・ 食品の流通システムにおける輸送の影響より消費者個人が車で買い物に行く影響の方が大きい
・ 食品の包装の影響を定量評価するのは困難である
この報告書は英国での売り上げ上位150の食品について、栽培から輸送・加工・ 消費に至るまでの全体の環境影響を評価したものである。食品群としては炭水化物・野菜果物・乳製品・肉類・魚及びその他タンパク源・飲料・混合製品やスナックなどの7グループを考察した。各グループで水や地域への環境影響・栽培に必要なエネルギー・地球温暖化への寄与・富栄養化への影響・加工の影響・冷凍や包装の影響を考慮した。


報告書本文
PDF 199ページ
http://www.defra.gov.uk/science/project_data/DocumentLibrary/EV02007/EV02007_4601_FRP.pdf


以下Food-e-newsの記事より
この報告書について、特に報道機関が注目したのはトマト・ミルク・チキンである。1トンのオーガニックトマトを作るのに必要な土地は122 m2であるのに対して通常のトマトはわずか19 m2である。英国で暖房した温室で育てられるオーガニックトマトは、スペインの暖房を必要としない温室で育てられたトマトの100倍の二酸化炭素を排出する。さらにオーガニックミルクは通常ミルクより80%も多くの土地を必要とし、土壌を酸性化する副産物を2倍も出し、二酸化炭素は20%多く排出する。チキンも同様にオーガニックの方がエネルギーを多く使い多くの二酸化炭素を排出する。
(オーガニックが健康にも環境にもメリットがないということ。オーガニック推進団体は推進理由を「動物の福祉」や「景観」などに後退せざるを得なくなった)


National Heart Forum(英国)