食品安全情報blog過去記事

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ガン患者が未承認薬を選ぶ

Cancer patients opt for unapproved drug
28 March 2007
http://www.nature.com/news/2007/070326/full/446474a.html
インターネットでの売買が臨床試験に取って代わる
Helen Pearson
試験的抗ガン剤がラットで明らかな副作用なしに腫瘍が退縮したら、研究者は臨床試験を計画する。しかしそれには何年もかかる。一方で死にゆく患者たちは未承認薬を使ってその情報をウェブで集める。いずれも命を救いたいと願っているのだがどちらが正しい方法なのだろう?
最近ジクロロ酢酸(DCA)について問題になっている。今年1月にカナダのEvangelos MichelakisらがDCAにラットで抗ガン作用があると報告した。DCAはエネルギー産生に重要なミトコンドリア酵素を阻害する。DCAはある種のミトコンドリア疾患治療用に臨床試験が行われているが未だ承認されていない。
DCAは既知の物質でMichelakisらが特許をとることはできず、製薬会社が医薬品として開発することはないだろう。そこで彼は自分のお金で小規模臨床試験を行う予定である。
一方カリフォルニアの害虫駆除会社の社長であるJim Tassanoは、彼のダンスのインストラクターのガンを治したいと代替療法を探していてDCAにたどりついた。彼は自分でDCAを合成してウェブサイトを作り、情報提供と動物用医薬品としての販売を始めた。Tassanoは自分でDCAを使った患者たちがその結果をサイトに報告するとしている。
Michelakisらはそうした方法に懸念を表明している。DCAの臨床試験がストップした理由は末梢神経障害作用があったからである。また対照群もなしに効果があったかどうかを判断することはできない。また医薬品グレードではないDCAには有害物質の汚染もあり得る。
臨床試験に進んだ抗ガン薬の95%は危険だったり効果がなかったりで承認されていない。またDCAなどの未承認薬を使っている患者は臨床試験に参加しないだろう。これは公衆衛生上の損失になりうる。患者の未承認薬使用の努力から良い結果が得られるとは考えにくい。


EurekAlert (http://www.eurekalert.org)より