食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

FDAの中国産養殖魚の輸入警告に関するQ & A

Questions and Answers on FDA's Import Alert on Farm-Raised Seafood From China
June 28, 2007
http://www.cfsan.fda.gov/~frf/seadwpe.html
FDAは中国産のどのシーフードを輸入警告対象にしたのか?
中国産の養殖ナマズ及びbasaと呼ばれるナマズの仲間の魚、エビ、デイス、及びウナギを、物理学的検査無しには差し止め(「DWPE」又は「輸入警告」)にした。これは中国産のこの種の製品は安全性が確認されない限り米国には輸入されないことを意味する。中国から輸入される天然シーフードについては影響はない。
・ 何故今そういう対応をしたのか?
2006年10月から2007年5月の間、FDAの輸入監視計画で、中国から輸入される養殖シーフードに未承認動物用薬や食品添加物が何度も検出された。未承認薬物や食品添加物を含む製品を製造した企業はDWPEにするのがFDAの政策である。多数の中国企業が既にDWPEになっている。この問題が一部の企業だけの問題ではなく中国全体で普遍的に起こっているようであるため、FDAは中国全体をDWPEにした。
・ 中国から輸入されたシーフードに検出されている未承認医薬品や食品添加物とはどういうものか?
マラカイトグリーン、フルオロキノロン、ニトロフラン、ゲンチアナバイオレットが検出されている。これらの薬物は細菌や真菌が魚の上で増殖するのを阻害したり寄生虫感染を予防する目的で使用される。しかしながら米国で水産養殖に使用することは認められていない。
・ 輸入警告対象のシーフードによるリスクはどのようなものか?
検出された汚染物質の量は非常に少なく、最も多いのは検出限界近くの濃度である。そのため検出された薬物による健康影響は長期間摂取の場合についてである。ニトロフラン、マラカイトグリーン、ゲンチアナバイオレットは実験動物で発ガン性が示されており、食用動物へのフルオロキノロンの使用はヒト病原菌の抗生物質耐性を増加させる可能性がある。現在入手できる情報を総合して、FDAは中国産シーフードによる米国消費者のリスクは最小限であり、公衆衛生上の緊急リスクとはならないと信じる。FDAの措置は予防的なものである。
・ 輸入警告下では製品の安全性はどのように示されるのか?
輸入警告の規定では輸入業者に対して第三者の検査機関による対象物質が含まれないことの証明を要求している。FDAの輸入担当機関がそのような証明書を受け取って精査した後、国内への輸入が認められる。
FDAは小売店に対して現在販売されているシーフードの回収を求めるか?
回収は必要ない。FDAの輸入警告は将来の長期暴露を予防するためのものである。
・ 我が家の冷凍庫に入っているシーフードについてはどうすれば良いか?
既に購入した製品は食べられる。
・ 中国から米国に輸入されているシーフードの量はどれくらい?
NOAA水産業統計によれば
エビ:
米国内総供給量の90%が輸入、
米国のエビの総輸入量の11.5%が中国から
米国のエビの総供給量の9.6%が中国から
中国から輸入されるエビは100%養殖


ナマズ
米国内総供給量の2%が輸入、
米国のナマズの総輸入量の99%が中国から
米国のナマズの総供給量の1.9%が中国から
中国から輸入されるナマズは100%養殖


Basa
米国内総供給量の100%が輸入、
米国のbasaの総輸入量の8%が中国から
米国のbasaの総供給量の8%が中国から
中国から輸入されるbasaは100%養殖

・ 私の買ったシーフードが中国産かどうかはどうすればわかるか?
現行法では魚に産地表示は必要ない。しかしながらFDAが輸入警告を出して違法シーフードの輸入を阻止するため、消費者は魚の産地について心配する必要はない。
FDAは国産シーフードに未承認薬物を検出したことはあるか?
ない。
・ メラミンの事例のように他の水産物がリストに加わると予想されるか?
ティラピアなどが中国から輸入されている。いくつかの他の製品の輸入業者が差し止め対象になっている。しかし中国全体がDWPEになるようなパターンは観察されていない。とはいえそれらについても監視は継続し、必要であればさらなる対応を行う。
マラカイトグリーン、ゲンチアナバイオレット、ニトロフランに発ガン性があるという根拠は?
NTPによるニトロフラン類の報告書が二つある。ニトロフラゾン(TR-337)及びニトロフラントイン(TR-341)の二年間混餌投与試験で、マウスとラットで明確な発ガン性が認められた。
1991年にFDAはニトロフラゾンとフラゾリドンの二つのニトロフラン医薬品の承認を取り下げた。これらは家禽やブタに動物用医薬品として承認されていた。
これらのクラスの化合物にヒトや動物への発ガン性があることがわかったため、承認を取り消した。
またマラカイトグリーンロイコマラカイトグリーンについては2004年にNTPの発表した報告がある。これらの化合物は消費者に暴露される可能性があることとゲンチアナバイオレットとの構造類似性があること、発ガン性データがないことからFDAが試験対象に推薦したものである。2年間の試験の結果、ラットで、マラカイトグリーンについては明確でない、ロイコマラカイトグリーンについては若干の、発ガン性の証拠があると結論された。
クリスタルバイオレットは、医薬品としてゲンチアナバイオレットとも呼ばれるが、マラカイトグリーンと類似の性質をもつトリフェニルメタン属の抗真菌活性のある色素である。この物質は魚や魚卵の体表の真菌や寄生虫感染予防用に使用されているとの報告がある。マラカイトグリーンと同様魚の組織に吸収されて代謝により還元されロイコクリスタルバイオレットとなる。NTPの報告ではクリスタルバイオレットは齧歯類に発ガン性・変異原性がある。またヒト膀胱ガンとも関連する。ロイコクリスタルバイオレットはマウスで腎・肝・肺に腫瘍を誘発する。