食品安全情報blog過去記事

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食品中残留農薬

Agricultural Compound Residues in Food
8 August 2007
http://www.nzfsa.govt.nz/consumers/food-safety-topics/chemicals-in-food/chemical-residues-booklet/index.htm
(ところどころ抜き書き)
はじめに
人々はこれまでの全ての時代に食物を昆虫や害獣や病気や雑草から守るために闘ってきた。昆虫は作物をダメにし、雑草は空間や栄養を奪い、真菌や細菌は動植物や貯蔵食品に感染する。マウスやラットやその他の動物による被害も大きい。食物を得るために、人々は何代にも渡って害獣や害虫と闘わなければならなかった。
ギリシャやローマの時代から、殺虫剤としてイオウや瀝青(れきせい)などの化学物質が使用されてきた。1700年代までは酢や消石灰やハーブ混合物などが使われた。農業が拡大し化学物質に関する知識が豊かになりより有効で人に使いやすい製品への要求が大きくなった。1930年代から、洗練された合成農薬が広く使われるようになり、それに伴って残留農薬やヒトや環境への影響に関する一般の懸念が拡大した。この懸念により包括的試験やモニタリングが行われるようになった。
この小冊子は農薬Agricultural compoundについて説明するために作られた。

農薬とは何か?
農薬は一次産物生産のために使用される。家庭の庭やペット用にも使われる。
農薬には天然物と合成品があり動物用医薬品を含む。
全ての食品には、植物が自分を守るために作り出す天然農薬を含む少なくとも50万以上の化学物質が含まれる。

何故農家は農薬を使うのか?
農薬は農産物の品質と生産量を高め、ダメになるのを遅らせるために使用される。

我々が食品中に残留することを許容したのは何故か?
農薬が使用される前にどういうことが必要か?
使用が認可されるには法律の要求する事項に従わなければならない。


食品中の残留農薬規制値とは何か?
残留農薬に関する基準は二つある。MRLとADIである。
MRLは製品が「適正農業規範」に従って使用されたことを示すものであり、安全性の基準値ではない。健康影響はADIにより判断する。

農薬が残留するたくさんの食べ物を食べたらどうなるか?
健康リスクがあるほどたくさんの農薬を摂ることは極めて考えにくい。


MRLを超える残留があった場合、食品は安全か?
MRL超過はその食品が適切に生産されていないことを示す。しかしMRL設定には大きな安全性マージンが使用されているため、その食品は安全である。
ごく希にMRLを超える農薬が検出されることがあるが、この食べ物を食べて急性の健康リスクがあることはほとんどない。
もしMRL超過が検出された場合、NZFSAはこの違反の重大性について初期調査を行う。結果により、リコールや通知や法的措置などを執る。
滅多にないことだがあなたがMRLを超える食品を買った場合でも、通常の加工や貯蔵、洗浄や調理などによりほとんどの場合多くの残留農薬は減る。
健康リスクがあるかどうかは、どれだけの量の残留農薬が、どれだけの食品に検出されてそれを一人の人がどれだけ食べたかによる。例えば、キウイフルーツニュージーランドのイプロジオンMRLは 5 mg/kgである。ADIは 0.06 mg/kg 体重/日である。非常に感受性の高い70 kgの体重の成人に何らかの有害影響が出るには、毎日約1 kgのMRL丁度のイプロジオンを含むキウイを一生食べ続けなければならない。


ニュージーランドの食品は米国やヨーロッパの食品より多くの残留農薬が含まれるか?
ニュージーランドの食品の残留濃度は海外と同程度かそれより低い。


何故一部の農薬は海外では禁止されているのに国内では禁止されていないのか?
ニュージーランドで使用されている農薬のうちいくつかは海外では使用されていない。食品への安全性が問題となって禁止されている例は希である。使用されていない理由は、例えばその農薬が必要な作物がその国では栽培できないとか害虫がいないなど、たくさんある。

天然の毒素は食べても安全か?
動植物が作る多くの天然毒素の安全性についての知識は少ない。全ての食品は化学物質からなる。そのうち一部の物質は一定量で有害であり、ときに有害作用があるほど存在している。
登録された化学物質と違って、天然毒素についてはそのヒトや動物への影響がよくわかっているものは非常に少ない。ジャガイモのソラニン、ピーナッツに生えるカビのアフラトキシン、生のインゲン豆のレクチン、傷んだリンゴにみられるカビのパツリン等もそうである。他の物質についてはその食品を長いこと問題なく食べてきたという理由でほとんどの人々にとってその量は一般的に「安全」とみなされている。
化学物質の量についても、バランスの取れた多様な食事を摂るということが(安全性のために重要であると)言える。合成農薬にもし「カクテル効果」があるのなら、天然毒素にもあるだろう。

農薬を使用する場合に適用される法律は?
ニュージーランドで認可される農薬は農薬及び動物用医薬品法Agricultural Compounds and Veterinary Medicines Act 1997、食品法Food Act 1981、 有害物質・新生物法Hazardous Substances and New Organisms Act 1996、動物製品法Animal Products Act 1999及びその関連規制や基準により規定される。

食品中の残留農薬濃度を検査しているのは誰か?
NZFSAが残留農薬と暴露量をモニターしている。

残留農薬摂取量を減らすためにできることはあるか?
ニュージーランドの食品に関する多くの研究から、食品中合成化学物質への暴露量は安全レベルより低いことが示されている。それでもなお心配であるなら以下のような方法があるであろう。
・ 良く洗う、生で食べる場合まっすぐ伸びる植物の根に近い葉は取り除く
・ 家庭の庭で農薬を使うときは使用方法を守る
・ 信頼できる事業者の堆肥を使う
・ 天然毒素への暴露を最小化するために傷んでいない製品を食べる。健康な動植物の天然毒素は少ない
・ 食品は普通の調理方法で確実に調理する
さらなる情報はどこから?
NZFSAから


PDFバージョン
http://www.nzfsa.govt.nz/consumers/food-safety-topics/chemicals-in-food/chemical-residues-booklet/nzfsa-chems-booklet-formatted-for-web-final.pdf
写真がいっぱいあってカラフルな小冊子