食品安全情報blog過去記事

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逸話の根拠とアスパルテーム

Anecdotal evidence and aspartame
December 21st 2007
http://www.fsascience.net/2007/12/21/anecdotal_evidence
私は科学者としてある種の根拠は他のものより信頼できるものとみなす。例えば最良の方法で実施されてピアレビューを経て出版された二重盲検クロスオーバー試験の結果は誰かの経験談より重要である。
とはいえFSAがリスクアセスメントを行う場合には、情報源による重み付けは行われるものの全ての根拠は重要でどれも割引されたりはしない。私は英国女性協議会の今年の10月の年次会合で逸話的根拠の利用に関して議論が行われ、「英国政府に意志決定の才に逸話的根拠の重要性を認めさせ、逸話的根拠を探し、記録し、厳密に調べてもしそれが本当であることがわかったら対応できるようなシステムを作るよう働きかける」動議が採択されたことに興味を持っている。
再現性のある根拠を示してピアレビューにより批判されることは科学の基本的プロセスであるが、FSAは科学だけを仕事にしているわけではない。FSAが助言を行ったり政策を決定したりする時には、より広範囲の根拠(個人の自由、規制上の制約、社会的経済的文脈、消費者のリスク嗜好)をもとにしている。この二番目の段階は科学とは異なり、最終的結論を出すまでに何度か繰り返される協議による。
私は逸話的根拠は、より厳密な科学的研究のきっかけとなると思う。その結果再現性のある根拠が得られればリスクが評価できる。
最近FSAはアスパルテームに関する逸話的有害事象についてどう対応するのかと尋ねられた。最近のEFSAの助言フォーラムで、私は人工甘味料アスパルテームの影響に関する消費者の逸話に基づく懸念に対応する研究プロジェクトを提案した。この提案は、自称アスパルテーム高感受性集団と普通の人との間で、報告された症状と生化学的パラメーターを二重盲検クロスオーバー試験により比較するというものである。EFSAはこの提案に好感触を示し、さらに検討するための会合を予定している。