食品安全情報blog過去記事

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恐ろしい年

Scary year
December 27, 2007
Elizabeth M. Whelan, Sc.D., M.P.H.
http://www.acsh.org/healthissues/newsID.1664/healthissue_detail.asp
ワシントンタイムスに掲載された記事
私たちの周りの全てのもの−食べ物や空気や水や消費者製品−ががんや恐ろしい病気の原因になる?私たちが2007年に目撃した次々と報道される健康への恐怖を信じるならそう考えるのも無理はない。
もちろん、健康を脅かすものはある−例えばAIDS、喫煙、インフルエンザの世界的流行など−しかし毎日のように報道され(そして政府への対応を要求する)心配のもとになるのはインチキの恐怖である。
プラスチックのおもちゃに対する最近のヒステリーを例に挙げよう。活動家たちはプラスチックのおもちゃに使われている可塑剤のフタル酸類が、子どもたちが口に入れるとおもちゃから溶け出してがんやその他の病気の原因になると主張している。カリフォルニアは最近この可塑剤を禁止し、カリフォルニア州選出の上院議員はその禁止を国家レベルの規制にしようとしている。フタル酸
類が子どもや大人の健康へ悪影響があるという根拠はないにも関わらず。
そのような規制が行われれば、よく調べられていない代替物質に替えるためのコストは我々全員にふりかかる。
またプラスチックに関しては多数の環境活動家たちが容器に含まれる化学物質が水や食べ物に溶け出して健康に悪影響があると人々を脅かしている。EPAですらそのような脅しには根拠がないと認めているのに活動家たちは「プラスチック容器はあなたの赤ちゃんの体に時限爆弾をしかけるようなものだ」と主張し続けている。
今年のがんの脅しのほとんどは、化学物質の規制を支持するような恐怖感を喚起するものであったが、ワクチンに関する脅しは単に根拠がないだけでなく現実に子どもの健康リスクを増加させている。
ワクチンのチメロサール自閉症の原因であるとする主張は多くの保護者に予防接種を拒否させ、子どもたちを感染症のリスクに曝している。メディアが関連の可能性を報道しているが世界中の研究者は何度も何度もワクチンが自閉症の原因だという神話を否定している。
もしあなたが2007年の健康への脅かしを全て信じているなら、口紅も有害でオフィスのプリンターは超微粒子を放出して肺疾患を引き起こし、輸入されたバラの花束は大量の化学物質を含むと確信していることだろう。
健康への恐怖は避けられないのだろうか?確かに、健康は極めて感情的な問題なので、そうだろう。「化学物質」のような目に見えないものに対する恐怖をかき立てるのは簡単だ。ヒトには見えなかったり理解できないものを恐れる傾向があるようだ。
2008年は公衆衛生ヒステリーのなかで始まるが、我々は恐怖に支配されて法律を作ることは我々全てにとって時間と資源の無駄でコストがかかることであるということを心しておかなければならない。
従って流行の脅かしについては割り引いて受け取ったほうがいい、塩でも摂りすぎると有害であるという事実についてはあまり心配しすぎないように。
(最後の文、a grain of salt:割り引いて のひっかけ)