食品安全情報blog過去記事

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Modern Food Processingに掲載されたRuth Kava博士の意見

Dr. Ruth Kava on Modern Food Processing
Thursday, December 27, 2007
http://www.acsh.org/healthissues/newsID.1665/healthissue_detail.asp
GM食品に関する議論。
最初に、「遺伝子組換え食品」という名前は実は間違っている。なぜなら我々の食べている食品は全て、伝統的交配や放射線誘発性突然変異などの近代的技術で遺伝子が組換えられたものだから。最新の遺伝子組換え技術は遺伝子スプライシングにより特定の遺伝子を変えたものである。すなわち、ある生き物から別の生き物に遺伝子を移動させたり、あるいはゲノム中の遺伝子の位置を変
えたりするものである。このような技術は古い技術より制御された特異性の高いものであり、伝統的方法より食品への安全上の問題は少ないと私は考える。
私が思うに、消費者は伝統的農業の方が「自然に近い」と誤解させられている。しかしながら農業は自然のものではない。人間は農業の開始以来生産性を上げるために動物や植物を改変してきた。耐性獲得のために植物を異種交配したり、望ましい性質を最大化するために動物を交配したりしてきた。そのような行為は「自然」ではない。
これまでのところ遺伝子組換え作物は消費者にとってより生産者にとって明確な利益のあるものであった。農家は除草剤耐性作物を使って雑草制御のための耕耘を減らすことができる。また各種害虫を殺すBt蛋白質を含む作物を使うことで農薬の使用を減らすことができる。組換えウシ成長ホルモンによりウシにたくさんのミルクを出させることができる。
今後干ばつ耐性や現在作物が育てられない土地で育てられる遺伝子組換え作物が開発されるだろう。そのような作物は現在は利用できない土地を利用できるようにするだろう。将来、消費者にとっても価値のある栄養価の高い植物などが作られるだろう。
世界の人口増加と耕作可能な土地の不足を考えると、遺伝子組換えなどの最新の技術を用いずに環境破壊や食糧不足を回避する方法を見つけるのは困難だ。