食品安全情報blog過去記事

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エッセンシャルオイルの使用に関するQ & A

28.03.2008
http://www.bfr.bund.de/cd/10945
雨や風や寒さ−寒冷で湿った気候は風邪や咳や嗄れ声の典型的な季節である。
多くの消費者はユーカリやペパーミントや樟脳などのエッセンシャルオイルの去痰作用などを期待して自分で治療する。これらの製品には吸入用や胸に塗ったりするものなどがある。しかし子どもに使うときには注意が必要である。アロマランプなどを使って室内空気に拡散させるアロマオイルについても同じである。乳幼児は微量のエッセンシャルオイルに反応することがある。以下に「エッセンシャルオイル」についてのFAQを準備した。

Q. エッセンシャルオイル精油)とは何か?
エッセンシャルオイルは特有の香りのある植物由来又は合成の揮発性脂溶性液状物質の異なる混合物である。油脂と違ってエッセンシャルオイルは完全に蒸発する。この混合物は多様な化学物質からなるが多くはテルペンである。

Q. どのように作用するか?
エッセンシャルオイルは吸入されれば粘膜から取り込まれ、口から入れれば胃から、皮膚に塗ると皮膚から吸収され、異なる臓器に到達する。また鼻からは嗅神経で電気化学信号を生じて脳に情報を伝える。脳は多様なホルモンを産生し免疫系に影響するのでエッセンシャルオイルが健康に影響を与える可能性がある。吸収された物質は腎臓で分離されて排泄され、一部は肺から呼気に排出される。

Q. エッセンシャルオイルはどのような目的で使用されるか?
使用方法は様々である。食べた場合は食欲増進や消化促進、入浴剤としても使われ、血液循環促進用にも使われる。香りを利用して化粧品や芳香剤としても使われる。風邪などのときは症状緩和目的で使われる。治療用や化粧品用のエッセンシャルオイルには通常希釈製品が使われるが、希釈しない精油も販売されている。

Q. 乳幼児にエッセンシャルオイルを使う場合の注意点は?
乳幼児に希釈していないエッセンシャルオイルは使ってはいけない。数滴を鼻や口に入れただけでも乳幼児に喉頭痙攣や呼吸停止などの命に関わる反応を誘発する可能性がある。さらに粘膜を刺激し嘔吐や運動障害、けいれんなどの副作用の危険性がある。
従って乳幼児には希釈した製品のみを使うべきである。疑わしい場合には医師や薬剤師に相談すること。樟脳などの強力なエッセンシャルオイルは使うべきではない。希釈は用法に従うこと。顔に使ってはいけない。子どもの皮膚に直接使用しない。エッセンシャルオイルは子どもの手の届かないところに保管すること。

Q. 特に子どもに危険なエッセンシャルオイルはあるか?
3才以下の子どもに対してはメントール、樟脳、ユーカリに注意すること。

Q. 中毒事例はよくあるか?
BfRにはエッセンシャルオイルの中毒事例がよく報告される。さらに中毒情報センターにも多くの問い合わせがある。子どもはしばしば意図せず吸入したり飲み込んだりする。エッセンシャルオイルの使用が一般に広がっているため事故の可能性も多い。

Q. 間違って与えてしまったり中毒症状が出たらどうすればよいか?
もし子どもに呼吸困難や意識レベルの変化などの急性中毒症状が出たら直ちに救急車を呼ぶこと。皮膚につけた場合は水で良く洗う、飲んでしまった場合は水やジュースなどを飲ませて希釈し、中毒情報センターに連絡すること。暴露量と物質の種類によっては家庭で様子を見るだけで良い。樟脳の場合は水やジュースを飲ませた後直ちに病院に連れて行くこと。

Q. 各種エッセンシャルオイルのリスク評価は行われているか?ティーツリーオイルについてはBfRが声明を発表している。ティーツリーオイルは医薬品ではないため有効性と健康リスクについては評価していない。希釈されていない濃縮ティーツリーオイルが化粧品用に流通している。ティーツリーオイルはニキビや皮膚感染症などに宣伝されているが、アレルギー誘発性があるためBfRは希釈されていない製品は販売すべきではないという意見である。化粧品中のティーツリーオイルの最大量は1%に制限すべきである。他に各種エッセンシャルオイルの化粧品への使用量制限を設けている。皮膚に残る製品についてはユーカリ油や樟脳、メントール、サリチル酸メチルについては最大1%、洗い流す製品については樟脳5%、メントール4%、サリチル酸メチル2.5%を推奨している。
有害な可能性のある成分については欧州評議会出版物を参照すること。


化粧品に使われる植物−Volume III:有害な可能性のある成分(2006)
Plants used in cosmetics - Volume III: Potentially harmful components (2006)
http://book.coe.int/EN/ficheouvrage.php?PAGEID=36&lang=EN&produit_aliasid=1982
リスクのある24物質についてのデータシート
アルブチン、ベータアサロン、樟脳、カプサイシン、クメストロールダイゼイン及びゲニステイン、エレミシン、エモジン、エスシン、エストラゴール、ユーカリプトール、ヒペリシン、イソサフロール、メントール、サリチル酸メチル、ミリスチシン、PAH(木材タール)、ピロリジジンアルカロイド、ケルセチン、キニーネ、ルチン、ステビオシド、ツジョン、チモール