食品安全情報blog過去記事

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世界規模での調査の結果、間違った思いこみを修正するためのがん予防キャンペーンが必要であること示した

UICCプレスリリースから
Global survey highlights need for cancer prevention campaigns to correct misbeliefs
http://uicc.org/index.php?option=com_content&task=view&id=16467&Itemid=537
多くの人々ががんの原因について、比較的影響の小さい環境要因を大げさに怖がり、がんのリスク要因として明確にわかっている行動要因の影響を小さく見積もるという間違った思いこみを持っている。
この調査はUICCの支援によりRoy Morgan Research and Gallup International
が行ったもので、29ヶ国29,925人をインタビューした。所得の高い・中程度・低い国毎の比較結果は、ジュネーブで行われた会合で発表された。
主な知見は
・ 高所得諸国の人々が最も飲酒によるがんリスクを信じない。この集団では42%がアルコールはがんのリスクを増加させないと答えた。中程度の所得の国では26%、低所得国では15%である。実際には飲酒はがんリスクを増加させる。
・ 高所得国では飲酒(51%)より野菜や果物を十分食べないこと(59%)のほうがより多くリスクとみなされている。科学的根拠は逆で、野菜や果物の影響は飲酒の有害影響より弱い。
・ 豊かな国では、飲酒よりストレス(57%)や大気汚染(78%)のほうが大きなリスクと見なされている。しかしながらストレスががんの原因になるとは認識されていないし大気汚染は飲酒に比べれば僅かな寄与しかない。
・ 低及び中所得国では、高所得国よりがんの治療について悲観的である。 特に問題が大きい思いこみはがんが治らないというものである。低所得国では48%ががんを治すためにできることはほとんどない、あるいは何かできることがあるのかどうか知らないと答えた。中所得国では39%、高所得国では17%である。そのような思いこみは、人々ががん検診を受けないことにつながるため問題である。
・ 一般論として、全ての国の人々は、過体重などのようなよく知られたがんのリスク要因でも自分でコントロールできるものより、大気汚染のような自分がコントロールできないものをがんの原因と認めたがる。
・ 低所得国の75%の人々は治療の方針決定は全て医師に任せたいと答えた。医師と患者が一緒に相談して決めたいというのは僅か8%で、患者が決めるべきだと答えたのは9%であった。豊かな国では患者又は患者と医師が決めると答えたのが72%であった。
UICC会長のDavid Hill博士は、世界中の国はこうした間違った思いこみを修正するための教育キャンペーンを行うべきだと述べている。人々には行動を変えるための理由を与えるべきだ。

(調査対象国に日本は入っていない。けど多分似たような結果になるだろう。)