食品安全情報blog過去記事

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乳児用食品の安全確保のため監視が必要

Vigilance needed to ensure safe infant food
26 September 2008
http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2008/pr35/en/index.html
WHOとFAOはメラミン汚染乳製品の拡大可能性について各国に警告
WHOとFAOは中国におけるメラミン汚染乳危機により、影響のある各国に乳児の安全な栄養確保を強く要請する。
乳児の健康な成長と発育に必要な栄養を供給には母乳が理想的であるが、同時に母乳を与えられていない乳児には必要に見合う安全な粉ミルクが適切に供給されることもまた必須である。
乳児用粉ミルクをコンデンスミルクやハチミツを混ぜたミルクや牛乳などのような他の製品で代用することは不適切であり、これらの製品は乳児を安全性と栄養の点でリスクに曝すことになる。
消費者の信頼を回復することが重要である。メラミン汚染製品はフードチェーンから排除されるべきである。乳製品の安全な供給は直ちに回復される必要がある。
WHOは全ての乳児は生後6ヶ月間は母乳で育てるべきだと薦めている。他の液体や食品、水さえも、この期間は必要ない。その後2才までは母乳を続けながら適切で安全な食品を食べさせるべきである。
過去2週間に中国から製品を輸入している各国でのメラミン汚染報告を受け、各国は市場をよく監視すべきである。メラミン汚染製品は正式なルートや非公式ルートで国内に入る可能性がある。もし汚染が見つかったら、ヒト健康リスクを評価した上で適切な対応を執るように。
安全な食品の供給は公的機関のみの責任ではない。食品企業もまた消費者に供給される食品の安全性を確保する責任がある。企業が食品安全について十分投資し原材料から最終製品までをカバーするフードチェーン全体の食品安全文化をつくることが重要である。
中国におけるメラミン汚染のような事故は食品の安全性やヒト健康に影響するだけではなく、数千万の酪農家の生計もリスクに曝す。各国はこのような事故がおこる可能性を最小限にするために、食品のコントロールや食中毒サーベイランスシステムを強化するために大きな投資が必要である。
メラミン汚染乳製品事件は9月11日に初めて国際機関が気がついた。WHOとFAOはINFOSANを通じて各国の食品安全機関と情報を交換している。
中国ではメラミン汚染乳児用ミルクを飲んで54000人以上の子どもたちが治療を受けた。約12900人が現在入院中である。
メラミンは食品と接触する物質に普通に使われていて、肥料などの農産物生産にも使用されている。このことにより食品中に低濃度(通常microg/kgの範囲) キャリーオーバーとして含まれるかどうか、さらにヒト健康への影響は評価する必要があるかもしれない。
メラミン自体は毒性は低い。しかし動物実験ではメラミンの不純物のシアヌル酸との共存で腎障害の可能性が示唆されている。汚染乳児用ミルクに検出されたメラミンは最高2560ppmであるが、シアヌル酸の濃度は不明である。