食品安全情報blog過去記事

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学校用品のフタル酸類についての意見

SCHER
Opinion on phthalates in school supplies
20-10-2008
http://ec.europa.eu/health/ph_risk/committees/04_scher/docs/scher_o_106.pdf
背景
子ども用品への可塑剤としてのフタル酸類の使用が懸念されていたため2005年12月14日の指令2005/84/ECにおいて以下の使用を禁止した。
―全てのおもちゃや子どもケア用品のフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)とフタル酸ジブチル(DBP)とフタル酸ベンジルブチル(BBP)
―子どもが口に入れる可能性のあるおもちゃや子どもケア用品のフタル酸ジイソノニル(DINP)とフタル酸ジイソデシル(DIOP)
さらに子どもが口に入れる可能性のあるおもちゃや子どもケア用品にはフタル酸ジ-n-オクチル(DNOP)も禁止された。
デンマーク環境保護局(EPA)が最近スクールバッグや鉛筆ケースや消しゴムなどの学校用品についてフタル酸類を分析した。その結果いくつかの製品からフタル酸類を検出した、デンマークEPAはほとんどの製品については通常の使用条件で健康リスクはないとしながら、DEHPを可塑剤として含むプラスチックケ消しゴムについては、毎日4mm角の消しゴムを食べると長期間には健康リスクがある可能性があるとした。
このデンマークEPAの調査とは別に、使用が禁止されている製品以外の消費者製品にフタル酸類がリスクについて十分な知識がないまま使用されているという主張がある。そこでSCHERが意見を求められた。
全体的な結論としては、デンマークEPAの調査を評価したところ、検査した品物からのフタル酸類暴露はあまり大きくない。バイオモニタリングのデータに基づくフタル酸類の暴露量解析の結果、DEHPやその他のフタル酸類の暴露量はDNBPを除けばTDIより低い。DEHPの暴露量は医療器具からの暴露による特定集団ではTDIを超えるかもしれない。さらに消しゴムを食べることによりTDIを4倍上回ると推定されるが、それでもなおDEHPのNOELの1/25である。通常消しゴムを食べるという行動は短期間の癖か一回だけに留まり、健康上問題となることはない。しかしながらSCHERはこの評価には不確実性が大きいことから先の意見にあるような移行試験の実施を提案する。
(消しゴムを毎日食べることも想定して作らないといけないなんてヘンでしょう)