食品安全情報blog過去記事

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マウス!バースコントロールは忘れて代わりにGEトウモロコシを食べれば!

グリーンピースインターナショナル
Mice! Forget about birth control - try GE maize instead!
11 November 2008
http://www.greenpeace.org/international/news/of-mice-and-ge-maize-11112008
オーストリア政府が発表した新しい研究によれば遺伝子組換えトウモロコシを与えたマウスは子どもの数が少ない。
報告書
Biological effects of transgenic maize NK603 X MON 810 fed in long term reproduction studies in mice
http://www.bmgfj.gv.at/cms/site/attachments/3/2/9/CH0810/CMS1226492832306/forschungsbericht_3-2008.pdf



政府というか、もともと遺伝子組換え作物に強く反対していたオーストリア環境省が研究費を出した研究の報告書。
マウス多世代試験(F4まで)と継続的繁殖試験(20週のうちに4回産ませる)、それに生涯混餌投与試験で、臓器重量や組織学的検査の他、CD3+リンパ球の免疫組織、透過型電子顕微鏡による核の形態検査、マイクロアレイまでやっている。
餌のトウモロコシはカナダ産で33%混餌で2005年と2007年の収穫とオーストリア産のトウモロコシを比較している。栄養組成が収穫年度によっても若干違う(誤差の範囲内だけど)ことが明示されていて興味深い。
たくさんの比較をしていて継続繁殖試験で有意差がついたものがあってグリーンピースが都合の良いように使っているが・・明らかにタイトルは誇張。有意差がついた試験では対照群(遺伝子組換えでないトウモロコシを与えた群)で生まれる子どもの数が回数毎に増えていっているだけで、GM群はむしろ安定している。1回目の子どもの数が対照9とGM8.22から4回目で11.38と8.21になった。これでバースコントロールなどできるはずもない。使ったマウスが非近交系OF1/SPFなのも影響するかも。

  • 遺伝子組換えトウモロコシNK603 X MON 810に関する安全性への主張についてのモンサントの声明

Monsanto’s statement on safety allegations related to transgenic maize NK603 X MON 810
November 11, 2008
http://monsanto.mediaroom.com/index.php?s=43&item=658
ピアレビューを経ていない「レポート」であること、著者のDr. Jurgen Zentek教授も本文中で述べているように3つの試験で結果が一致していないしこれは予備的なもので評価が必要であること、などを指摘。グリーンピースの声明はこれまでのGM作物の安全性を確認してきた信頼できる研究の積み重ねとは矛盾する。