食品安全情報blog過去記事

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安全規制値と健康リスク

Safety limits and health risks
Andrew Wadge
December 8th 2008
http://www.fsascience.net/2008/12/08/safety_limits_and_health_risks
ご想像通り、私はアイルランド産豚肉のダイオキシンについて情報を得ようとして忙しい週末を過ごした。いつものように我々の出発点は科学であり、これまでのところこれらの汚染物質はあなたの健康には影響ないであろう。しかしあなた方の中にはどうして「安全基準」の80-200倍のダイオキシン濃度が消費者にとって極めてリスクが低いと言っているのか不思議だと思う人もいるであろう。それは「安全基準」と呼ばれているものが、食品中の汚染物質濃度を下げる方針の一環としてEUの法により定義された最大量であるためである。だから法的最大濃度を超過していても必ずしも健康リスクがあるということではないのである。

健康にリスクがあるかどうかを決めるには、いろいろな食品から摂る汚染物質の総量や食べる期間、汚染物質の影響などについての情報が必要である。ダイオキシンについては、英国やEUやWHOの専門家委員会がTDIについて合意している。これは長期間健康影響無しに食べられる量のことである。これは胎児への影響や発がんリスクについても考慮している。
ダイオキシンは人体に約30年以上にもわたって徐々に蓄積し、その後ダイオキシン摂取量と排出量がほぼ同じになる。従って体内のダイオキシン量は平均的一日摂取量の約2000倍になる。例えばある日TDIの10倍量を摂ったとすると、体内の総ダイオキシン量が0.5%増えることになるが、その量では何の影響もないだろう。
我々は問題のアイルランド産豚肉について正確なデータを持っていない。汚染があったのはアイルランド産豚肉の10%未満で、英国で市販されている全てのアイルランド産豚肉ではない。従ってもしあなたが毎日豚肉を食べていたとしても必ずしも毎日TDIを超えているとは限らない。長期間の平均ではあなたの総摂取量はさらに低く、影響は無いであろう。
独立した科学委員会であるCOTはたまにTDIを超過することがあっても有害影響はないと結論している。
COTの関連情報にリンク
COT statement on the tolerable daily intake for dioxins and dioxin-like polychlorinated biphenyls
http://cot.food.gov.uk/cotstatements/cotstatementsyrs/cotstatements2001/dioxinsstate