食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

農家がGM「禁止」に逆らう

Natureニュース
Farmer defies GM 'ban'
Daniel Cressey
26 January 2009
http://www.nature.com/news/2009/090126/full/news.2009.59.html
かつてGMフリーだったウェールズでトウモロコシが収穫され環境保護主義者は激怒
遺伝子組換え作物に賛成しての直接行動の最初の例として、一人の農家がウェールズ政府による遺伝子組換えトウモロコシの栽培禁止に反抗した。
農家で農業コンサルタントのJonathon Harringtonは、Hay-on-Wye近くの彼の農地で2種類のGMトウモロコシを微量育て、さらに2人の地元の農家に種子を与えたと言っている。
ウェールズ議会政府はウェールズGMフリー地帯と宣言しているが、Harringtonの行動を受けてこの宣言は強制執行権がないことを認めた。一方Harringtonは議会がこの問題について非協力的で議論しようとしないために行動を起こしたと述べている。
「私にとってウェールズ議会がただ知りたくないだけであることがますます気がかりになっていた。私にはどうにもできなかったので行動を起こすことに決めた。この行動の目的は我々の政治的リーダーに気づかせようということである。」とHarringtonはNatureニュースに述べた。
妨害工作者か救世主か
Harringtonが育てたトウモロコシはヨーロッパアワノメイガに耐性のMON810の2つの品種である。この害虫は英国ではあまり多くはないがスペインでは大問題になっていて組換えトウモロコシが広く栽培されており、そこからHarringtonは種を得た。
MON810トウモロコシはヨーロッパではcommon listに収載されていて農家が育てることは合法である。
「私は法については助言を受けた。その助言によればcommon listに収載されている作物を育てることに問題はない。私は悪いことはしていない。私は英国の農業のためにやっている。」
彼の育てた組換えトウモロコシのほとんどは貯蔵牧草に加えられて交配用のヒツジの餌になった。収穫は10月だったが英国で一般の注目を集めたのは最近になってからである。
ウェールズの環境団体Friends of the Earth Cymruは農家を非難している。彼は法律違反はしていないがGM作物に関する報告義務の一部に従っていない可能性があり起訴できると活動家のHaf Elgarは述べた。
秘密の行動
Harringtonは彼の行動についてウェールズ議会を含む何人かの人に情報を伝えていた。しかし無法者による襲撃を恐れていたことも事実である。英国ではGM作物の野外試験に反対する者たちによる襲撃事件が起こっている。
2003年にGlamorgan大学のバイオテクノロジー研究者Denis MurphyはGMフリーウェールズは実現可能ではないと警告している。たくさんの農家が、栽培に適していると考えられる作物の栽培制限を嫌っている。GMフリーウェールズという考えは政治的トリックであり無意味である。将来的に英国に適したGM作物が利用できるようになれば、再考が必要であろう。