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遺伝子組換え作物についてヨーロッパが混乱

Natureニュース
European disarray on transgenic crops
Published online 17 February 2009  doi:10.1038/457946a
Alison Abbott
http://www.nature.com/news/2009/090217/full/457946a.html
ヨーロッパはフランスとギリシャによる遺伝子組換えトウモロコシMON810の国レベルでの規制を廃止するよう命令すべきかどうかについて合意できなかった。フランス、ギリシャオーストリアハンガリーEUの規制に従わないことは、この問題についてWTOから法に従うようにとの圧力をかけられているEUの政治的危機である。
科学的リスク評価を担当する欧州食品安全機関(EFSA)は、MON810に反対する理由はないと報告している。しかしEU 27ヶ国の代表者からなる委員会は2月16日に禁止解除決定に必要な「特定多数」の票を集められなかった。この結果は12月のオーストリアハンガリーに対する禁止解除命令についての行き詰まりと同じである。
WTOEUが自身の法に従っていないと言っている。そして国レベルでの禁止は、農業にバイオテクノロジーを使用している国の、貿易の規則に従って認められているヨーロッパ市場へのアクセスを否定している。
多くのヨーロッパ市民や政府は農業バイオテクノロジーに長い間敵意を抱いてきた。1998年にMON810を承認したEUの決定を多くの加盟国が履行しなかったため、欧州委員会は新しい規制枠組みを作った。2004年に発効した新しい枠組みでは、一旦承認された作物は27ヶ国のどこでも栽培可能になる。EUでは現在7ヶ国がMON810を栽培していて他の国でも多くの場合農家が望めば栽培できる。しかしギリシャオーストリアハンガリーは一貫して栽培許可を拒否し続けてきた。昨年フランスが拒否者に加わった。
一方でGM作物に対する一般の反対は低下している。昨年のユーロバロメーターによる調査ではGM作物に反対すると答えた人の割合は70%から58%に減った。