食品安全情報blog過去記事

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アクリルアミドの遺伝毒性に関する声明

Statement on the Genotoxicity of Acrylamide
2009
http://www.iacom.org.uk/statements/documents/COM09S1Acrylamide.pdf
結論部分のみ
117. EUのリスク評価報告書はアクリルアミドがin vitro変異原性物質でin vivo体細胞及び生殖細胞変異原性物質であると結論している。主な作用は染色体異常誘発性であり異数性誘発性についても幾分かの根拠はある。1995年以降入手可能になった根拠からはグリシダミドのDNA付加体や遺伝子変異が培養ほ乳類細胞やin vivo体細胞で検出できること、これらの付加体に一致した変異スペクトルなどがアクリルアミドの作用として拡大された。従ってアクリルアミドの変異原性の一部は、グリシダミドへの代謝後の付加体形成によるものと思われる。
118. アクリルアミドの遺伝毒性の強さの評価は、蛋白質結合や酵素阻害、酸化的ストレスやDNA付加体形成などを含む複数の可能なメカニズムがあるため複雑である。これらメカニズムのそれぞれがアクリルアミドの遺伝毒性に寄与している可能性がありそうだ。これらのメカニズムは相互に排他的ではない。
119. アクリルアミドはin vivoの変異原性物質である。この声明でレビューされた実験では、遺伝毒性は比較的高濃度(マウスでは約50 mg/kg体重腹腔内投与)でのみ観察されている。しかしながら反復投与実験ではもっと低い濃度(マウス28日間では約4 mg/kg体重腹腔内投与)でも遺伝毒性は報告されている。
120. 従ってこの遺伝毒性発がん物質についてのデフォルト推定は何らかのリスクがない暴露量はない、ということである。この推定から抜け出すには体細胞や生殖細胞で推定されるアクリルアミドの遺伝毒性メカニズムの全ての可能性について閾値があるという証拠がメカニズムデータととも必要である。現在入手できる根拠からはアクリルアミドには何らかのリスクがない暴露量はないと見なすべきである。しかしながら極めて低い濃度のアクリルアミド暴露による遺伝毒性影響は実際にはバックグラウンドと区別できないであろうことを注記する。