食品安全情報blog過去記事

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長官のコラム:政府の決定に科学の目を歓迎

CE’s column: Scientific ‘lens’ for govt decisions welcomed
May 2009
http://www.nzfsa.govt.nz/publications/ce-column/ce-column-5.htm
首相に科学的助言を行う主任科学者を任命するというニュースはニュージーランドの科学にとって良い知らせである。主任科学助言者の任務は政府の政策や意思決定に科学のレンズを採用することである。John Key首相は最初の科学助言者に著名な小児科医のPeter Gluckman教授を任命した。
ニュージーランドの繁栄は科学者の専門智をフルに利用することができるかどうかにかかっている、と首相は述べている。
Gluckman教授が関心を持っている分野に、メディアや一般人への統計学的情報の翻訳がある。彼は我々のリスクの統計的性質への無知が、リスクの大きさの誤解やパニックや警告だらけのニュースの見出しにつながっていると指摘している。
例えば、最近の新聞報道で水を飲むのにポリカーボネートボトルを使うとビスフェノールAの排泄が69%増加したという記事があった。69%という数字はとても大きくて意味のある数字だと思われるだろうが、実際はBPAの排泄量は1.2 micrograms/g クレアチニンから2.0 micrograms/gクレアチニンに増えただけである。どちらの数値も極めて小さく、全くリスクとはならない。つまりほぼゼロが69%増えたところでほぼゼロのままである。この種の報道は、常に実際よりも影響を誇張する。
NZFSAはその決定をしっかりしたリスク解析と最良の科学的根拠に基づいて行う。消費者はしばしば食品の安全性を、白か黒か、安全か安全でないかの二者択一ではない方法では受け入れがたいと考えるが、リスクや安全性という概念の科学的性質はそのような明確に区別できるものではない。このことは我々が明確なメッセージを発する際の困難となる。ほとんどの食品にはリスクがある。リスクが発現するかどうかはフードチェーンの全てに渡っての、又は家庭での食品の取り扱いに影響される。
さらに、低用量の食品添加物のような一部の食品中化学物質は、基準に従っていればヒト健康にリスクとはならない。
食品の安全性やリスクは全て定量的要素をもつ。NZFSAはこの分野がより多くの人に理解される可能性を歓迎する。
BPAのニュースに関してはメディアともとの報告をした研究者の両方が悪いんだけど。。)