食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

ビタミンDとカルシウム

AHRQ
Vitamin D and Calcium
July 2009
http://www.ahrq.gov/clinic/tp/vitadcaltp.htm
健康影響についての系統的レビュー
構造抄録
背景
1997年のビタミンDとカルシウムの食事参照摂取量(DRI)設定以降に、ビタミンDやカルシウム単独又は混合での健康との関連についての新しいデータが出てきた。IOMの食品栄養委員会が現行のDRI改定を変更する可能性があるかどうかレビューを行うためのDRI委員会を作った。このレビューを支援するために米国やカナダのいくつかの政府機関が系統的レビューを行った。委員会に系統的レビューを提供するのは文献のレビュープロセスの透明性を確保し栄養素のその後のレビューの基礎を提供するためである。
目的:
ビタミンD、カルシウム、及び両者の組み合わせとIOMやAHRQやプロジェクト支援のための専門家委員会の同定した各種健康影響との関連に関する根拠を系統的にまとめること。
データソース:MEDLINE ; Cochrane Central; Cochrane Database of Systematic Reviews; 及び Health Technology Assessments。検索は英語とヒトを対象にしたものに限られる。
研究の選択:内包及び除外基準を満たした系統的レビューとヒトにおけるビタミンD 及び/又はカルシウムと関連するヒトでの興味のある健康影響を報告した一次介入又は観察試験。横断研究及び後ろ向き症例対照研究は除外する。
データ抽出:研究の質やデザイン、介入、結果の詳細を抽出するには所定の基準を満たした標準プロトコールを用いた。
データ統合:
165件の一次論文と200以上の一次論文の内容を含む11の系統的レビューをまとめた。主に骨の健康、心血管系疾患またはがんに焦点をあてた根拠である。多くの健康影響について、血清中25(OH)D濃度又はカルシウム摂取量、又は両方の栄養素の組み合わせに関する現在入手できる文献からは、しっかりした結論を導き出すのは困難であった。直腸結腸や前立腺がん、妊娠中毒を含む妊娠関連アウトカムについての知見は矛盾している。膵臓がんや免疫機能についての研究はほとんどなかった。高血圧成人についての研究ではカルシウムの補充は収縮期圧を2-4 mmHg下げたが拡張期圧は下げなかった。体重についてはカルシウム摂取と体重に有意な影響はないということで一致している。成長速度については、メタ解析では子どもへのカルシウムサプリメントの投与は体重や身長の伸びに有意な影響を認めなかった。骨の健康については、系統的レビュー1つでビタミンDプラスカルシウムサプリメントで閉経後の女性の背骨やその他の領域の骨ミネラル密度に少しだけ増加が認められた。乳がんについては閉経前の女性のカルシウム摂取はリスク削減と関連した。前立腺がんについては、一部の研究で高濃度のカルシウム摂取はリスク増加と関連するという報告がある。
限界:
ビタミンDとカルシウムについての研究は妊娠及び閉経後の女性を除きDRIの設定のために特定された特定のライフステージを標的にしたものではない。検討した研究の方法論的質には大きな変動がある。既存の系統的レビューを使用することによる解析の限界はある。
結論:
ビタミンD、カルシウム、及び両者の組み合わせの各種健康影響に関する知見の多くは一貫していない。このような不均一な文献群からビタミンD、カルシウム又は両方の栄養素の摂取量と健康影響の間に用量−反応相関を作り出すのは困難である。
報告書本文は6.2MB
AHRQ Publication No. 09-E015