食品安全情報blog過去記事

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2010年6月22日の会合の議事録案

Minutes of the meeting held on Tuesday, 22nd June 2010
http://cot.food.gov.uk/pdfs/cotdraftmins22jun2010.pdf
・IEI(特発性環境不耐、化学物質過敏症)について
ピアレビューコメント掲載。概ね結論に同意。
Leuven大学の心理学研究者、Omer Van den Bergh教授のプレゼンから。IEIとその他の機能性症候群(慢性疲労症候群繊維筋痛症電磁波過敏症など)には症状の類似性や患者の性向の類似性(類似の精神的疾患を併発している)、同じような治療法(認知行動療法)への反応性など大きく重なる部分があることから共通の疾患モデルの可能性を提示した。彼は生物心理社会的モデルを提案しており、それでは症状の発生は生理的機能障害が直接や急性影響した結果ではなく心理学的プロセスによる影響が大きい。有害物質が無くても症状が起こる「条件付け」が生じる。Bergh教授は、ボランティアを臭いをつけた二酸化炭素の多い空気に暴露すると過呼吸がおこるが、続けて二酸化炭素なしに臭いだけ与えても過呼吸を誘発できるという行動条件付け実験を説明した。個人のパーソナリティ要因については、過呼吸反応はネガティブな感情の高い人ほど強く持続する。ネガティブな感情を誘発するきっかけが重要である。
質疑応答において、アレルギー反応が条件付け反応のきっかけになる可能性について議論している。喘息発作の症状の違いの半分が呼吸器の換気能力とは関係なく、人によって過剰に重く、逆に過剰に軽く報告される。
この疾患に置いては最も重要なのはパーソナリティであるがそれは脳の機能や遺伝子の違いによるのかもしれない。時代とともに疾患の名前は変化しているが症状はほとんど変わっていない。免疫系の影響についてはよくわからない。アレルギー疾患と誤診されている場合があるかもしれない。
COTの議論で、IEIについて、心因性と表記することが適切かどうかについては検討の余地があるが、「医学的に説明できない」という用語は役に立たないと思われる。がんであっても、全ての病気に心理学的要因は関与するものであるが、一部の患者は心理学的メカニズムが関与すると言う説明を嫌う。IEIの文脈に置いては感作(sensitisation)という単語は免疫学的プロセスを意味しない。また全てのIEI症例に毒性学的メカニズムがないとは言いきれない。IEIについては心理学的要因について言及した声明を発表することで合意した。IEIに心理学的メカニズムが関与していることについては強い根拠がある。
・規制のための内分泌攪乱物質の定義について
細かく見直し
・フタル酸暴露時間的変化に関するデンマークEPA報告書について
・食品中の複数汚染物質や添加物による内分泌攪乱影響
論文が出てからコメントする
・トキシコロジーにおけるトキシコゲノミクスの利用
声明案作成開始
・リスク評価の非確実性の表現について
など