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バイエルがアルジカルブの全ての使用を止めることに合意

Bayer Agrees to Terminate All Uses of Aldicarb
08/17/2010
http://yosemite.epa.gov/opa/admpress.nsf/eeffe922a687433c85257359003f5340/29f9dddede97caa88525778200590c93!OpenDocument
EPAとバイエルクロップサイエンス社は米国でのアルジカルブの使用を止めることで合意した。最近提出された毒性データに基づくEPAの新しいリスク評価では特に乳幼児に対して許容できないリスクとなることが示された。
最も重要なリスクに対応するため、バイエルは最初柑橘類やジャガイモへの使用を中止しその他の使用については地下水保護のためのリスク管理手段を講じることに合意した。バイエルは2014年12月31日までにアルジカルブの製造を任意で段階的に中止し、アルジカルブの使用は2018年8月までに中止されるだろう。さらにEPA残留農薬許容量を取り消す計画である。
アルジカルブや昆虫や線虫の殺虫剤として使われており、商品名Temikである。
Agreement to Terminate All Uses of Aldicarb
http://www.epa.gov/oppsrrd1/REDs/factsheets/aldicarb_fs.html
農作物に残留したものだけではなく地下水(耕作地域の井戸水)からの摂取量も合わせて急性毒性についての参照用量(PAD; population adjusted dose)を上回ると判断している。
急性毒性の指標はヒトや赤血球のコリンエステラーゼ活性の抑制で、BMDL10=0.013 mg/kg、急性RfD=0.001 mg/kg/日、a(急性)PAD=0.00027 mg/kg/日
安全係数として個人間の差について10、乳幼児の感受性の高さについて4.8を用いている。
BMDL10はコリンエステラーゼ活性の10%抑制が見られる濃度の95%信頼下限。それに安全係数48を用いた結果、乳幼児用の参照用量が極めて低い値になった。
(こんな計算してはいけないと思うけど。EPAらしいのだが・・誰も幸せにならない。まずコリンエステラーゼ活性の抑制は可逆的で血中濃度半減期は2時間なので毒性影響のエンドポイントとしてかなり微妙。個人差の安全係数10は幼児も含まれるというのが通常の解釈。特別配慮してもいいけれどこの場合エンドポイントが軽微なのでいらないと思う。)