食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

EurekAlert(http://www.eurekalert.org)より

  • 米国の食品中BPA濃度についての初めてのピアレビューのある研究では規制値の1000分の1以下であることを発見した

First peer-reviewed study finds BPA levels in US foods 1,000 times less than limits
2-Nov-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-11/acs-fps110210.php
ACSからのプレスリリース
(同じACSなのにC & ENと見出しのつけかたがあまりにも違う)
Scientists Find Bisphenol A In U.S. Food
Toxic Substances: BPA appears in meat, poultry, fish, vegetables, prepared food, and infant formula
http://pubs.acs.org/cen/news/88/i45/8845news.html

  • 桂皮のクマリン濃度は同じ木の皮由来であっても大きく変動する

Levels of coumarin in cassia cinnamon vary greatly even in bark from the same tree
3-Nov-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-11/acs-loc110310.php
Journal of Agricultural and Food Chemistryに発表された報告によればインドネシアで育つ木からとった桂皮中のクマリン濃度には極めて大きな変動がある。クマリンは一部の人に肝障害リスクがある。
ドイツの販売店で購入した91のシナモン検体を調べたところ大きな違いがあったため、インドネシアから直接5本の木の皮を購入して分析した。その結果同じ木由来であっても極めて大きな差があった。平均するとカッシアシナモンcassia cinnamon粉末はセイロンシナモンより63倍、スティックでは18倍のクマリンが含まれる
Quantification of Flavoring Constituents in Cinnamon: High Variation of Coumarin in Cassia Bark from the German Retail Market and in Authentic Samples from Indonesia
http://pubs.acs.org/stoken/presspac/presspac/full/10.1021/jf102112p
ドイツで購入したカッシアシナモン粉末のクマリン濃度は1740-7670 mg/kgで平均4020、スティックは検出限界以下から9900 mg/kgで平均3252、セイロンシナモン粉末は88-436 、平均252、スティックは検出限界以下から486で平均231。
インドネシア産の木の皮は同じ木でも場所により検出限界以下から7380 mg/kgまであり、桂アルデヒドなどの香料成分含量ともあまり関係しない。

  • 有機栽培タマネギ、ニンジン、ジャガイモの、健康によい抗酸化物質の含量は多くはない

Organic onions, carrots and potatoes do not have higher levels of healthful antioxidants
3-Nov-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-11/acs-ooc110310.php
Journal of Agricultural and Food Chemistryに発表された研究では、慣行栽培と有機栽培でいわゆる健康によいとされる物質の含量に差はなかった。
Effects of Organic and Conventional Growth Systems on the Content of Flavonoids in Onions and Phenolic Acids in Carrots and Potatoes
http://pubs.acs.org/stoken/presspac/presspac/full/10.1021/jf101091c
デンマークの研究。測定したのはポリフェノール類のケルセチン、カンフェロール、イソラムネチン、ミリセチン、カフェ酸、p-クマリン酸、フェルラ酸、5-O-カフェオイルキナ酸。
有機栽培はデンマークガイドライン遵守したうえで複数システム(動物由来の堆肥を使う量が違う)複数箇所、複数年。調べたのは可食部のみ。
大規模で信頼性の高い調査。

Science NOW
Fish Oil No Foil for Alzheimer's
2 November
http://news.sciencemag.org/sciencenow/2010/11/fish-oil-no-foil-for-alzheimers.html?etoc
オメガ3脂肪酸は脳に良いという評判だが、新しい研究によればアルツハイマー患者には効果はなさそうだ。この研究は2週間前に発表された妊娠中にサプリメントを摂っていた女性から生まれた子どもについての同様の残念な結果に続く。
これはオメガ3が全く効果が無いという意味ではなく、心臓などには役に立つ可能性がある。しかし脳については期待外れのようだ。
どちらの研究も動物実験や観察研究では期待できる結果があった。魚をたくさん食べる人達の認知症や認知機能低下はより遅いようだったし、観察研究では妊娠中のオメガ3サプリメント産後うつを抑制し子どもの神経発達機能を改善しているようだった。さらにアルツハイマー様動物モデルではドコサヘキサエン酸(DHA)による改善が見られたしアルツハイマー病患者の脳にはDHAが少なかった。いずれもDHAが役に立つことを期待させるものだった。
しかし実際に効果があるかどうかを確認するためにJoseph Quinnらは弱から中程度の認知症患者402人を無作為に割り付けて295人が試験を完了した。予想より高い脱落率ではあったがDHAが役に立たないと結論するには十分なデータを得た。論文は11月2日、JAMAに発表された。
Quinnは介入が遅すぎたのだと考えている。DHAアルツハイマー予防効果を調べればもっと良い結果が出たかもしれないが、それには膨大な時間とお金がかかる。
EurekAlertでは
DHA 'fish oil' supplements do not seem to slow cognitive, functional decline in Alzheimer's disease
2-Nov-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-11/jaaj-do102810.php

オープンアクセス
Docosahexaenoic Acid Supplementation and Cognitive Decline in Alzheimer Disease
Joseph F. Quinn et al.
JAMA. 2010;304(17):1903-1911.
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/304/17/1903

  • The New Dish on Fish

Donna E. Hansel
3 November 2010: 56ec172
Sci Transl Med, Volume 2, Issue 56
メリットがあるという評判が高い魚油だが、慢性大腸炎のマウスに与えると免疫機能を抑制することで大腸がんを促進するかもしれない