食品安全情報blog過去記事

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その他論文

  • 脳卒中サブタイプへのビタミンEの影響:無作為化対照試験のメタ解析

Effects of vitamin E on stroke subtypes: meta-analysis of randomised controlled trials
Markus Schürks et al.
BMJ 2010; 341:c5702 doi: 10.1136/bmj.c5702 (Published 4 November 2010)
Cite this as: BMJ 2010; 341:c5702
脳卒中頻度へのビタミンEの影響を調べた9試験合計118765人のデータがある。ビタミンEは総脳卒中リスクには影響しなかった。しかし出血性脳卒中リスクは22%増加、虚血性脳卒中リスクは10%減少していた。出血性脳卒中の方が比較的重症であることと虚血性脳卒中リスクの削減幅が小さいことから、現在広がっている無分別なビタミンEサプリメントの使用には警告を発する。

  • 食物アレルギーへの恐怖が過剰に制限的な食生活につながる

Food-allergy fears drive overly restrictive diets
4-Nov-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-11/njh-ffd110410.php
Journal of Pediatricsに10月29日オンライン発表された National Jewish Healthの研究者らによれば、多くの子どもたち、特に湿疹のある子どもたちは、食物アレルギーかもしれないという不完全な情報を根拠に不必要に食品を避けている。これは子どもたちを栄養リスクに曝すことになり、しばしば根拠にしているのは血清イムノアッセイと呼ばれる血液検査である。食物アレルギーかどうかを調べる標準法は経口食物負荷試験である。
食物アレルギーが疑われる125人の子どもの後ろ向きレビューを行った。経口食物負荷試験を行うと、食品を避けていた理由により84-93%の忌避されていた食品が食べられた。
血中抗体検査の解釈には注意が必要である。

Natureニュース
Bisphenol A goes through the skin
4 November 2010
http://www.nature.com/news/2010/101104/full/news.2010.581.html
レシートが暴露源の可能性
2つの研究がビスフェノールAを再び注目の的にしている。1つはBPAが皮膚から吸収されるというもの、もう一つは日常的にBPAを含むレシートを扱っているヒトの平均体内BPA濃度がそうでないヒトより高いというものである。これらからBPAの規制強化のを求める声が強くなっている。
BPAは西洋諸国のほとんどのヒトの検体から検出可能である。動物実験で高濃度では有害であることは確認されているが低濃度での有害影響については規制担当者を確信させるに至っていない。
BPAは食品や飲料の包装容器に良く使われているがそれらは通常はポリマーの一部となっている。一方感熱紙にはモノマーとして存在し、吸収されやすい。
1日に数枚しかレシートを取り扱わない普通の人にとっては感熱紙が主要暴露源となることはないが、レジ担当者として働く妊娠女性などは注意すべきとJoe Braunは言っている。
・Zalko, D. , Jacquesa, C. , Duplanb, H. , Bruela, S. & Perdu, E.
Chemosphere advance online publication doi:10.1016/j.chemosphere.2010.09.058 (2010).
・Braun, J. M. et al.
Environ. Health Perspect. advance online publication doi:10.1289/eph.1002366 (2010).