- イヌでの実験を減らすことを要請
Natureニュース
Call to curb lab tests on dogs
Published online 28 June 2011
http://www.nature.com/news/2011/110628/full/474551a.html
医薬品の試験に齧歯類と非齧歯類の両方が要求されているため、後者がイヌになりやすい。愛護団体が削減を求めている。
- 幹細胞研究者がクリニックに立ち向かう
Stem-cell scientists grapple with clinics
28 June 2011
http://www.nature.com/news/2011/110628/full/474550a.html
幹細胞クリニックに対して治療内容を文書で提供するよう求めたところクリニック側は国際幹細胞研究学会(ISSCR)を訴えると脅した。幹細胞の研究者にとっては世界中で根拠のない「幹細胞治療」クリニックが増えていることがフラストレーションになっていた。昨年6月にISSCRは幹細胞治療を提供しているクリニックに患者のための情報を明らかにするよう質問状を送付し、その回答をISSCRのホームページに掲載するとした。これに対してクリニック側からの反応はISSCRに権限があるのかといった法律家からの文書だった。法的には根拠があっても裁判は学会の限られたリソースを速やかに枯渇させるだろうとの判断からこの計画は2月に棚上げされた。
- タバコを吸わない女性にとって肥満は大敵
Obesity is a killer in nonsmoking women
28-Jun-2011
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2011-06/bmj-oia062711.php
BMJに発表された28年コホート研究
一度もタバコを吸ったことのない女性の早逝には肥満が大きな寄与因子である、特に低所得相では。1972-1976年に45-64才だったスコットランドの女性15000人を死亡するまで追跡した研究のうち、喫煙経験のない3613人のデータを解析した。28年の追跡期間中約半分の女性が死亡し、心循環器系疾患が51%、がんが27%だった。職業レベルが低いと心循環器系疾患での死亡が増えるががんは関係ない。職業レベルが低い集団は、死亡率の高い重度肥満と肥満が多い。研究全体の喫煙者と比べると、タバコを吸ったことのない女性では過体重や肥満が多い。社会的地位に関わらず、タバコを吸わず肥満でもない女性の死亡率は低い。
Cause specific mortality, social position, and obesity among women who had never smoked: 28 year cohort study
BMJ 2011; 342:d3785
http://www.bmj.com/content/342/bmj.d3785
重度肥満はBMI 35以上、肥満は30-35
過体重は正常とあまり変わらない
- 幸せなオランウータンは長生き
ScienceNOW
ScienceShot: Happy Orangutans Live Longer
28 June 2011
http://news.sciencemag.org/sciencenow/2011/06/scienceshot-happy-orangutans.html?ref=hp
幸せな人は長生きだがオランウータンでもそうらしい。Biology Lettersにオンライン発表された動物園の184のオランウータンの健康状態調査によると、最も幸福なオランウータンは7年以内の死亡率が42%低い。
- 自然保護論者にとって、(タスマニア)デビルは細部に宿る
For Conservationists, the (Tasmanian) Devil Is in the Details
27 June 2011
http://news.sciencemag.org/sciencenow/2011/06/for-conservationists-the-tasmani.html?ref=hp
野生のタスマニアデビルに拡がっている感染性の顔のがんについて。
タスマニアデビルの全ゲノム配列が発表された。1996年に発見されたデビル顔面腫瘍疾患(DFTD)は一旦オーストラリア諸島全体に拡がったが現在ではタスマニアにのみ見られる。タスマニアでは北東部から拡大して地域によっては90%ものデビルを殺した。DFTD流行前の個体数は10万以上だったが今や約4万である。このがんは寄生性で、デビルの遺伝子の多様性が極めて少ないことで拡大している。ヒトなどほとんどの動物ではがんを含めた組織の移植は難しいが、タスマニアデビルは地理的に隔離されて近親交配を繰り返しているため全てが近親関係にある。この病気に耐性のある固体を交配させる試みが行われているが、耐性遺伝子だけを選択して遺伝的多様性を減少させないよう細心の注意が求められている。