食品安全情報blog過去記事

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米国の野生GMキャノーラ

SMC
Wild GM Canola in United States
October 7th, 2011.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2011/10/07/wild-gm-canola-in-united-states/
米国の研究で、遺伝子組換えキャノーラが栽培地域以外で生長している、野生で存続していることが示された。しかし専門家はこれは新しいことではなく、これまでにも野生のGM植物が報告されている。この研究についてのオーストラリアSMCが集めた専門家のコメント。
アデレード大学植物機能的ゲノミクスセンター所長Peter Langridge教授
この研究は驚くようなことではない。キャノーラは世界中の道ばたに生えていてGMキャノーラであってもその点については同じである。
GM作物は侵襲的ではなく、管理された農場環境で育つように作られているため滅多に雑草にはならない。野生植物、特に雑草にとって必要な性質−種子の休眠性や拡散性など−は概ね作物からは排除されている。このため作物が自然の生態系で雑草になる可能性は制限される。しかし道路脇は、道路からの余剰水分の提供や定期的草刈りなどがあるため、作物が生えるのには特別な環境を提供する。このため大麦やキャノーラなどが道路に沿って生えることがしばしばある。GMキャノーラも同様であることは予想される。これは地域にとって環境や安全上の問題ではない。GMキャノーラはGMでないキャノーラと基本的には同じであるが、道路沿いの(除草剤耐性)GMキャノーラをコントロールするためには適切な除草剤を使う必要があるだろう。
メルボルン大学土地環境学部長Rick Roush教授
この論文は平凡なもので驚くべきものではない。著者らはGMキャノーラがGMでないキャノーラより雑草としての性質が強いとか問題が多い、あるいは有害であるという根拠は提示していない。この論文で報告されたことは全て以前どこかで報告されたことであり、それが米国のノースダコタでも繰り返された。道路沿いにだけ見つかったことは生物多様性にとって重要ではなく、環境への悪影響とは言えない。オーストラリアでも普通のキャノーラと一緒にGMキャノーラが道路沿いに生えることは予想されるが、道端が黄色い花で明るくなる以上のことはない。異なるGMキャノーラや非GMキャノーラとの交配は10年以上前にカナダで報告されており、その後カナダで問題になってはいない。