食品安全情報blog過去記事

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映画「Bulb Fiction」についての声明

Statement on the Bulb Fiction film
http://ec.europa.eu/health/scientific_committees/environmental_risks/docs/scher_o_160.pdf
SCHERは、オーストリアの映画「Bulb Fiction」に描かれている、節電ランプが壊れたときに水銀に暴露されて健康に有害影響が出るという主張について欧州委員会から意見を求められた。特に映画で示されている、壊れたランプ由来の水銀で脱毛したという少年や水銀と鉛の同時暴露で化学物質による影響を受けやすくなるという意見の根拠を評価するよう依頼された。
我々は注意深く映画を見て、入手可能な文献を検索し、オーストリアの同僚に相談し、以下の見解を得た。
水銀への急性暴露による脱毛は、たとえ労働環境での高濃度でも科学文献では報告されていない。節電型ランプの水銀含量は極めて少なく、事故により壊れて暴露されたことによる有害影響は予想できない。したがって映画に出てくる少年の病歴についての情報(例えば血中水銀濃度や持病)がなければ脱毛が節電型ランプの水銀のせいだという見解を支持できない。
水銀と鉛の複合影響については、標的臓器が異なり、節電型ランプが壊れたことによる暴露量で水銀がDNAの修復に影響するという報告もないため、映画の主張に科学的根拠はない。
白熱電球を蛍光灯型に切り替える政策が進んでいる)