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食品中ピロリジジンアルカロイドについてのFAQ

Frequently asked questions on Pyrrolizidine alkaloids in food
04.06.2012
http://www.bfr.bund.de/cm/349/frequently-asked-questions-on-Pyrrolizidine-alkaloids-in-food.pdf
ピロリジジンアルカロイドはある種の植物が作る二次代謝物である。健康への有害影響がある可能性があることから、それらは食品や飼料中に存在することが望ましくはない。ドイツでは Senecio属のPA含有植物(サワギクやノボロギク)がサラダに混じる事例がある。産地によってはある種のハチミツにもPA含量の高いものがある。BfRの意見では汚染を減らす努力が必要である。ハチミツを食べることが消費者にただちにリスクとなることはない。サラダについてはノボロギクが混じらないように採取や作成に特別な注意を勧める。
以下にQ & Aを示す。
ピロリジジンアルカロイドPA)とは何か?
ある種の植物は捕食者から自分を守るためにPAを作る。6000以上の植物から500以上の異なるPAがみつかっている。PA含有植物の多くはデージーやわすれな草やボリジやマメの仲間である。ドイツ原産植物としてはtansy ragwort(サワギク)、common groundsel(ノボロギク)、viper’s bugloss(エキウム)などがある。化学的にはピロリジジンアルカロイドは1-ヒドロキシメチルピロリジジン(ネシン塩基)と脂肪族一または二炭素酸(ネシン酸)からなるエステルである。
PAの急性中毒事例は知られているか?
高用量では致死的肝不全につながる。動物では牧場のノボロギクを食べて中毒になる事例が知られている。ヒトではHeliotropium や Crotalaria 種の混じった小麦を食べたりいわゆるブッシュティーによる中毒事例が報告されている。
PAの慢性影響は何か?
ある種の不飽和PAは遺伝毒性発がん性であることが動物実験で確認されている。ヒトで確認された事例はない。動物では胎児毒性もある。
なぜ食品にPAが含まれるのか?
植物由来食品経由で食品に入る。例えばハーブティー、シリアル、サラダ、ハチミツなど。アフガニスタンでは小麦にも汚染が報告されている。
食品のPA規制値はあるか?
薬品と違って食品や飼料にPAの法的基準はない。
BfRは暫定的リスク氷菓を行い、各種食品からの遺伝毒性発がん性ピロリジジンアルカロイドは可能な限り低くすべきだと結論している。慢性暴露については不飽和ピロリジジンアルカロイドの一日摂取量は0.007 microg/体重を超えないこと。国産ハチミツを平均的に食べる場合にはこの量には到達しない。
なぜPAの検出はそんなに難しいのか?
構造の多様性と濃度が低いことと食品を構成する成分が複雑であることが分析を難しくしている。現在信頼できる検出法があるのはほんの僅かのPAのみである。従って検出法開発の必要がある。
消費者にリスクはあるか?
ハチミツを食べることによる急性リスクはない。サラダについては注意が必要。
ピロリジジンアルカロイド汚染低減のために必要なことは?
特に子どもに大量のPAを食べさせないようにするための努力が必要で、賢明なのは混合ハチミツを使うことである。できるだけ食品からPA含有植物を排除し、PA含有植物を含むサプリメントや花粉の摂取は避けるべきである。野菜やハーブの栽培と収穫には注意する。
PA汚染を最少化するために消費者ができることは?
サラダや葉物野菜やハーブに注意する。食用でない植物を排除する。特定地域のハチミツに注意。サプリメントに注意。動物由来食品にPAのリスクはない。
(日本だとフキや漢方薬