食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他ニュース等

  • 原子力はあなたにとって良いか?

ScienceInsider
Is Nuclear Power Good for You?
by Dennis Normile on 18 July 2012
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/07/is-nuclear-power-good-for-you.html?ref=hp
昨日発表された決闘のような研究で、科学者は昨年の福島での原子炉のメルトダウンによる将来のがんによる死亡130という予想が、原子力は人々の健康全体にとって良いのか悪いのかについて議論している。この論争の中心にあるのはカリフォルニア大学スタンフォード校の気象学者John Ten Hoeveと環境エンジニアMark JacobsonがEnergy & Environmental Scienceにオンライン発表した論文である(コピーはhttp://www.stanford.edu/group/efmh/jacobson/fukushima.html)。二人は福島第一原子力発電所の複数の原子炉が2011年3月11日の地震津波による核燃料冷却電力の喪失によりメルトダウンがおこって放射性核種が放出されたと推定するところから始めた。核種のデータを三次元地球大気モデルに入れ、放射性降下物の世界地図を作り、そのモデルの予想と実際に検出された大気中や汚染地域の測定値で正確性をチェックした。次に世界中の人々の放射性ヨウ素131、セシウム134およびセシウム137の暴露量をEPAの開発したモデルを用いて計算し最終的にLNTモデルによる放射線によるがんを推定した。彼らは福島の事故による追加のがん死は15から1100の間、最良推定で130とした。追加のがん症例としては24から1800、最良で180とした(幅が広いのはモデルの不確実性による)。どちらの場合も日本が最も多くヨーロッパと北米では約1人追加である。
さらに同じモデルをカリフォルニアのDiablo Canyon発電所の仮想の事故にあてはめた。その事故で福島と同じ排出量だと人口密度が低いにもかかわらず気象学的状況のため死亡が25%増加する。
同じ雑誌に同じ時期にオンライン発表された「オピニオン」で、ノーベル賞受賞物理学者でカリフォルニアのSLAC National Accelerator Laboratory前所長 Burton Richterは、がん推定が原子力発電が比較的安全であることの根拠とみなしている。「Hoeve-Jacobsonの論文を読んで最初に思ったのは福島の事故による放射性物質の放出による影響が、巨大な地震津波の被害に比べてどれだけ小さいかということである。」
さらにRichterは日本が原子力の代わりに化石燃料を使うことにより放出される汚染物質で失われる生命年の計算を提示する。その測定方法では原子力はガスよりちょっと良くて石炭よりはるかに良い。電気1テラワットあたり石炭より失われる生命年は138でガスは42、原子力はHoeve-Jacobsonの論文による福島事故での損失を含めても30である。「多くのヒトにとって驚きかもしれないが、原子力が他の方法より健康によいことは明白である。」とRichterは書く。
日本人の実際の被曝量を測定してきた東京大学の物理学者Ryugo Hayanoは、この論文はLNTモデルを間違って当てはめている、と言う。ICRPはLNTモデルはたくさんの人々が長期9に渡ってごく少量の放射線に暴露された場合のがんの数を推定するのに使うべきではないと言っている。
HoeveとJacobsonはRichterの考察に対して回答し、最初にがんの死亡率は福島発電所の周辺から退去させられた困難により死亡した高齢者や弱者などの約600人に加わるものであることを指摘し、次にRichterは風力や地熱や太陽光その他の発電を無視してしること、そして彼らもRichterも採掘や使用済み燃料の廃棄などによる環境影響については考慮していない、とした。ただこれらは彼らの論文の範囲を外れるとしている。

  • オリンピック特集

Nature
Nature Volume:487, Date published: (19 July 2012
エディトリアル
London calling

遺伝子強化オリンピックがやってくる
Olympics: Genetically enhanced Olympics are coming
世界クラスのアスリートには特別な能力増強遺伝子があることがわかってきつつある。遺伝子が違う「ハンディキャップ」のあるヒトに遺伝子治療を施してオリンピックに参加させる日が来るだろうか?

オリンピック:あなたの人生のために走ろう
Olympics: Run for your life


オリンピックにおける科学:チーム科学
Science at the Olympics: Team science
オリンピックを背後で支える科学:心理学者、薬物検査者、流体モデル作成者、疾患追跡者など

能力増強:超人アスリート
Performance enhancement: Superhuman athletes
ドーピング禁止などの制限がなければ、科学はヒトの能力を押し上げることができるか

IFST
information statement on polycyclic aromatic hydrocarbons
http://www.ifst.org/document.aspx?id=1999
PAHは2つ以上の芳香環を持つ比較的安定な脂溶性有機化合物のグループである。
主に有機物の高温での不完全燃焼や分解により生じる。各種工業工程でも生じる。
食品ではバーベキューやグリル、ロースト、燻製、乾燥、焼く、揚げる、トーストするなどで生じる。
EUでの規制や測定方法について紹介する

  • 食事からのアクリルアミド摂取とがんリスクについての疫学研究レビュー

Review of epidemiologic studies of dietary acrylamide intake and the risk of cancer
Lipworth, Loren et al.,
European Journal of Cancer Prevention: July 2012 - Volume 21 - Issue 4 - p 375–386
アクリルアミドとがんの関連について調べた疫学研究のレビュー。食事からの暴露よりタバコによる暴露の方が大きいので、非喫煙者または喫煙について調整してからの結果を分けて解析した。一貫した信頼できる根拠は見つけられなかった。


  • GMOの神話と真実

環境団体Earth Open Source
GMO MYTHS AND TRUTHS
Michael Antoniou Claire Robinson John Fagan
June 2012
http://earthopensource.org/files/pdfs/GMO_Myths_and_Truths/GMO_Myths_and_Truths_1.3.pdf
123ページにもわたる長い告発文書だが内容は新しいものはない

以前も同様のことをして反論されているがそれには答えない
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20111117#p3
(間違いや誤解を指摘されてもそれに反応することはなく延々と同じことを繰り返すことこそが非科学的なのに。)