食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース

  • 発がん性難燃剤はカリフォルニアにとどまる

Natureニュース
Cancer-causing flame retardants linger on in California
Daniel Cressey
28 November 2012
http://www.nature.com/news/cancer-causing-flame-retardants-linger-on-in-california-1.11910
禁止されて何年も経つがハウスダストから検出される
家具を燃えにくくするのに使われた化学物質でがんとの関連が疑われたものは現在は使用が禁止されたが、しばしば健康影響がわからない代用品に取って代わられている。
Environmental Science and Technologyに発表された2つの研究が難燃剤の規制方法に根本的改訂が必要だとしている。これまでの研究では、特に難燃性についての規制があるカリフォルニアで、家具には極めて多様な難燃剤が使われていることが示されてきた。ペンタBDEは米国とヨーロッパで2004年から段階的に使用禁止になっているが、古い家具などが残るためハウスダストには難燃も残存する。
また代用品の毒性が問題になっているものもある。
研究者らのなかにはカリフォルニアの規則を批判する人たちもいる。

New study: Many flame retardants in house dust -- unsafe levels
28-Nov-2012
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-11/ssi-nsm112012.php

  • 間違ったがん目標

Natureエディトリアル
Misguided cancer goal
28 November 2012
影響力のある米国の団体が2020年までに乳がんを撲滅するという目標を掲げた。しかしこれは科学的に不可能な目標を約束することで人々の信頼を危険にさらす行為である。
人生や病気の研究に置いて、願望は良い戦略ではない。目標や期限を設定するのは良いことだが、2020年までに乳がんを終わらせる‘ending’というもと米国大統領Bill Clintonの約束は間違っている。人々の信頼に有害である可能性がある。
母親を乳がんで亡くしたClintonはNational Breast Cancer Coalitionの2年キャンペーンの名誉会長になった。ウェブサイトで「2020年1月1日までに乳がんを終わらせる」と宣言している。野心的な目標はそれを達成する手段がある場合には望ましいが、乳がん天然痘の撲滅のようなわけにはいかない。

  • 今週号のNatureの特集は気候変動 京都アプローチは失敗

Climate policy: The Kyoto approach has failed
二酸化炭素の排出は増え続け、温暖化した世界に適応するしかないと考える人が増えた

  • 議論のあるGM研究へのヨーロッパの機関の最終判決:科学的に妥当なものではない

ScienceInsider
European Agency's Final Verdict on Controversial GM Study: Not Scientifically Sound
by Meghna Sachdev on 28 November 2012
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/11/european-agencys-final-verdict-o.html?ref=hp
EFSAは遺伝子組換えトウモロコシの毒性について調査した議論のある研究への最終判定を発表した。この研究は「許容できる科学的水準を満たさず」、従ってGMトウモロコシの安全性を再評価する必要はない。
問題の研究は9月19日に分子生物学者Gilles-Eric Séralini らによってFood and Chemical Toxicologyに発表されたもので、GMトウモロコシNK603とラットの腫瘍や死の関連を見つけたと主張した。この研究は科学者には酷評されたがフランスではメディアと人々に大変注目された。
欧州委員会の要請でEFSAは専門委員会を作って検討し、10月4日の初期レビューではこの研究は結論を出せるようなものではないとし、フランスの2つの規制機関も10月に同様の結論を出している。
EFSAはベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、オランダの独立した評価も考慮して独自の評価を完了し、Séralini研究は欠陥があるとした。

  • 意味のない対応を理解する

Making Sense of a Senseless Act
Science 23 November 2012: Vol. 338 no. 6110 pp. 1025-1027
Mara Hvistendahl
アジアからの研究は長く信じられてきた自殺要因についての概念を覆す
中国におけるY婦人の死は多くの専門家を困惑させる。彼女は中国の農村に住む若い母親で忠実な妻で自殺の標準的リスク要因を一つも持たない。彼女は鬱ではなく精神的疾患もなくいつも幸福そうで不満を言うことはほとんど無かった。しかし近所の人が彼女を鶏小屋から卵を盗んだと公衆の面前で非難したことから、Y婦人はその恥には耐えられないと「卵を盗んでいないことを証明するために死ぬ」といって自宅の農薬の瓶を一気飲みした。
西洋諸国での研究では自殺の主なリスク要因は精神疾患で、90%以上を占める。他に男性の方が女性より自殺率が高く米国では約4:1である。他に都市住民であること、離婚などがリスク要因である。しかし中国ではY婦人のような例が典型的で、精神衛生上の問題は48%しかない。中国では女性、農村住民、結婚している人のほうが自殺率が高い。
中国やインドでの研究がこれまでの見解を覆しつつある。アジアでも精神疾患が重要であることに変わりはないが、家族や宗教や教育やパーソナリティについてももっと研究が必要である。
(自殺率マップがあって人口あたりの自殺率の高い地域が赤に色分けされて危険域とされている。自殺の多くは途上国でおこっているとあるが、日本と韓国は赤。)

韓国は急増する問題に取り組む
Korea Tackles a Mushrooming Problem
Science 23 November 2012: Vol. 338 no. 6110 pp. 1026-1027
Dennis Normile
特に韓国の若い女性と高齢者の自殺率の高さは目立つ。さらに問題なのはそれが増加していることである。韓国では死因の4番目が自殺で10-39才の年齢では死因のトップである。

Snake Oil is Alive and Well: The Clash Between Myths and Reality-Reflections of a Physician
M.D. Morton E. Tavel
Brighton Publishing LLC (August 29, 2012)

  • 最大規模の調査でチーズに隠された警告すべき塩の量が明らかになる

CASH (Consensus Action on Salt and Health)
The biggest survey of its kind reveals the alarming amounts of salt hidden in cheese
29th November 2012
http://www.actiononsalt.org.uk/news/surveys/2012/Cheese/86941.html
・チーズは心疾患や脳卒中のリスクを高くする可能性がある
・チェダーチーズが最もポピュラーだが、ポテトチップス1袋より塩が多い
・多くのチーズ製品は海水よりしょっぱい
CASHは英国のスーパーマーケットで販売されている772のチーズ製品の塩を調べ、多くが必要以上に塩が多いことを見いだした。

Wellness Letter
Cold Supplements, from Airborne to Zinc
December 2012
http://www.wellnessletter.com/ucberkeley/feature/cold-supplements-from-airborne-to-zinc/
普通の風邪の予防や治療は医学研究や製薬会社にとっては困難な探求対象であり、これまで症状を緩和する医薬品しかできていない。そのため人々が風邪に効くとか免疫を強化すると宣伝するたくさんのサプリメントに手を出す。それらに科学的根拠はあるのか?
Airborne
エキナセア
ニンニク
朝鮮人
プロバイオティクス
ビタミンCやD
亜鉛
(基本的に風邪予防や治療に効くと宣伝しているサプリメントに科学的根拠はない)