食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

EurekAlert(http://www.eurekalert.org)より

  • 妊娠中のビタミンDの摂りすぎは食物アレルギーを誘発する

Too much vitamin D during pregnancy can cause food allergies
27-Feb-2013
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-02/haog-tmv022713.php
Allergyの2月号に発表されたLeipzig Helmholtz研究。
2006-2008年に設定した622人の母親とその子ども629人を含むコホートビタミンD濃度は妊娠中の母親の血液、生まれた子どもの臍帯血を調べ、その後2才までの子どもの食物アレルギーについて質問票で調べた。その結果血中ビタミンD濃度の高い妊娠女性の子どもは食物アレルギーリスクが高かった。この研究は妊娠中の女性はビタミンDサプリメントを摂るべきではないことを示唆する。

Contaminated diet contributes to phthalate and bisphenol A exposure
27-Feb-2013
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-02/uow-cdc022213.php
プラスチック容器を使わずに保管・調理されたオーガニック食品でもこれらが含まれる
Journal of Exposure Science and Environmental Epidemiologyに2月27日発表された研究によれば、人々は食事からフタル酸やビスフェノールAに暴露されている
10の家族のうち半分にフタル酸とビスフェノールAの暴露量を減らすための説明書を渡し、他の家族にはプラスチック容器を使わず保管・調理した地元産の生鮮オーガニック食を5日間提供した。尿中代謝物濃度を調べたところ、提供された食事を食べた群の濃度が、予想に反して一般人の100倍高かった。そこで使った食材を調べたところ、バターやクリームやチーズやミルクが440 ng/g以上、シナモンや唐辛子は700 ng/g以上、コリアンダーは21400ng/g以上だった。
Unexpected results in a randomized dietary trial to reduce phthalate and bisphenol A exposures
http://www.nature.com/jes/journal/vaop/ncurrent/full/jes20139a.html
ちなみに暴露量を減らすための説明書を渡した群では変化なし
(粉末スパイスの製造工程でなんか入るのかな?それにしてもこだわりのオーガニック料理ってそんなにたくさんスパイスを使うのだろうか?それともオーガニックを売りにしているスパイスの品質管理がダメなんだろうか(これは非常に良くある。無農薬とか無添加とか明後日の方向で食品の安全性をアピールしているところはリスクベースのアプローチをしていないので大事なところが疎かだったりする)。)

  • BPA十字軍は科学と環境影響を信じない、と専門家

Forbes
Anti BPA Crusade Discrediting Science And Environmental Health, Says Leading, Independent Expert
Trevor Butterworth,
2/26/2013
http://www.forbes.com/sites/trevorbutterworth/2013/02/26/anti-bpa-crusade-discrediting-science-and-environmental-health-says-leading-independent-expert/
Richard Sharpe教授は、スコットランドエジンバラ大学にある英国医学研究審議会(MRC)生殖健康センターで研究チームを率いている。MRCは今年100周年を迎え世界でも最も古い医学研究所の一つである。Sharpe教授は生殖問題の専門家でフタル酸や内分泌撹乱化学物質の影響についての最前線にいる。彼がビスフェノールAのリスクを強調する反対運動について、科学の基本原則を破るものだと批判したとき、多くの環境活動家はショックを受けた。Toxicological Sciencesの2009年の論文で、BPAを巡る議論は、化学物質の脅威についてではなく、問題の多い研究方法で再現されることのない結果を認めろと主張するごく一部の科学者たちの拒否についてのものである、と彼は主張する。この小集団は、主にNIEHSの研究費をもらっていてミズーリ大学のFrederick vom Saalの取り巻き達であるが、大規模実験が信用できないのは企業がお金を出した陰謀であると主張している。しかしEPAやヨーロッパや日本の公的資金による研究でも彼らの研究は再現できていない。
Sharpe教授はボストンで開催されたAAASのBPAに関するシンポジウムに登壇し、その時にインタビューを行った。
(長いインタビューなので一部のみ紹介)
Q:Toxicological Sciencesの論文発表から3年、何が変わりましたか?
Sharpe教授:事態は動いていない。相変わらずたくさんの根拠を無視して大声で騒ぐ集団がいる。科学が完全に白か黒であることはないが、たくさんの根拠を無視すれば黒いものを白ということもできる。ビスフェノールAについてはそういう問題だ。
Q:BPAを巡る問題は非対称な情報戦争として説明できると思う。一般の人々は警鐘を発する単純な話ばかり聞き、複雑な薬物動態学のような研究は無視される。一般の人々が、彼らの懸念に真に答えるための規制上必要なプロセスを理解できないことをどうすればいいか?メディアの問題だろうか?
Sharpe教授:問題は山積している、その一つが不確実性の理解と、科学における不確実性の扱い方である。政治家や一般の人々は不確実ではなく明確なガイダンスを求める。そのため慎重な科学者による断定を避ける物言いが歓迎されない。
Q:BPAが危険だと信じている人たちは扇動的コミュニケーション方法を使う。ったおえば赤ちゃんにプラスチックのほ乳瓶で飲ませることは避妊用のピルを飲ませるのと同じだと主張しそれがメディアに引用される。
Sharpe教授:それは単に誇張しているだけではなくねつ造と言っていい。
Q:科学研究に使えるお金には限りがあるのだから、人々の死因としてリスクの高いものに優先的に配分すべきだとPeto卿は言った。化学物質のリスクと環境科学の将来についてはどう考えますか?何にお金を使うべきでしょう?
Sharpe教授:私の同僚のJohn Sumpterは我々に必要でこれまで投資してこなかったものはintelligent thinking(知的考え方)だと言っている
食事が我々の思っているより大きな影響があるだろう
Q:メディアに対しては?
Sharpe教授:メディアについて語る立場ではない。メディアはお金を儲けるために見出しが必要なのだろう。根拠のない警鐘報道を続けると人々は反応しなくなり、真の脅威があっても気づかないだろう。問題はメディアではなく科学の売り方だろう。