食品安全情報blog過去記事

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その他

  • ヨーロッパはミツバチのリスクについて議論

Natureニュース
Europe debates risk to bees
Daniel Cressey
24 April 2013
http://www.nature.com/news/europe-debates-risk-to-bees-1.12857
農薬禁止案は科学者の支持を集めるがさらなる野外試験を求める専門家もいる
地球全体でコロニー崩壊疾患として知られるミツバチの死亡が報告されている。原因の一つとして、以前の農薬よりほ乳類や益虫への有害影響が少ないとされてきたネオニコチノイド類とよばれる殺虫剤が名指しされている。ネオニコチノイドを巡る議論は激しさを増してきた。英国やヨーロッパの保護団体や政治家は使用禁止を提案しているが農業団体は禁止されると農家が困難に陥ると言う。来週月曜日にヨーロッパ政府は3つのネオニコチノイドの禁止または厳しい制限をするかどうかについて重要な投票を行う。
一方科学者は、ほとんどが実験室で行われたネオニコチノイドとミツバチやマルハナバチの健康についての研究が実際に野外でおこることを反映しているのかどうかについて激しく議論している。
ネオニコチノイドは昆虫の神経系の受容体に結合して毒性を発揮する化合物で1990年代後半から使用されてきた。作物の種子を処理することで植物全体に浸透し昆虫から守る。しかし蜜や花粉に含まれる殺虫剤への致死的ではない量への暴露がミツバチの花粉収集能力や帰巣に有害影響を与えるという研究が増えてきた。1月にはEFSAが3種のネオニコチノイドをミツバチにとって魅力的な作物には使用すべきではないと結論した。そして欧州委員会が2年間の使用禁止を提案したが先月の投票では支持を集められなかった。しかし4月29日に再び投票が行われる。
コレラの化合物については根拠が十分ではないという科学者もいる。
DEFRAが行った数少ない野外試験は3月に発表されて議論をさらにかきたてただけだった。DEFRAは殺虫剤の濃度と昆虫への有害影響に明確で一貫した根拠はなく、野外ではネオニコチノイドの影響はおこらないと結論したが、たくさんの科学者がこの試験を批判している。

  • DNA: 未知を祝おう

DNA: Celebrate the unknowns
Philip Ball
Nature Volume: 496, Pages:419–420
http://www.nature.com/nature/journal/v496/n7446/full/496419a.html
二重螺旋の60周年に、我々は分子レベルでどのように進化が働くのか完全に理解してはいないことを認めるべきである。
1953年にワトソンとクリックがNatureに論文を発表して60年。

  • WTC対応者に予想より多くのがんが生じる

More Cancers than Expected in WTC Responders
April 23, 2013
http://www.medpagetoday.com/PublicHealthPolicy/EnvironmentalHealth/38635
世界貿易センターで救助作業にあたった労働者のがん発症率は予想されていたより高い、という報告がEnvironmental Health Perspectivesに発表された。現在進行中の登録研究で、全てのがん合計の発症率が15%高い(標準化頻度比[SIR]: 1.15, 95% CI 1.06〜1.25)とニューヨークのMount Sinai Medical Center Icahn医学部の Samara Solan医師らが報告した。Solanは「この研究の知見は有意ではあるが解釈には注意が必要である。ほとんどのがんの潜伏期間は長いがフォローアップ期間が短いこと、極めて強力に監視していること、特定部位のがんの数が少ないこと、などがある。しかしこの知見はフォローアップを継続する必要性を示す」と述べている。WTC Health Programでは20984人の労働者をフォローし、全体で552人から575のがんが診断された。参加後6か月以降に診断された302のがんに限定すると有意差はなくなる。甲状腺がん前立腺がんは高い頻度のままであるが、これらは検診を強化したことによるアーチファクトである可能性がある。
(一生症状が出ないけれど多くの人がもっているラテントがんは積極的に探しに行くと見かけ上増える。でもがんだと診断されてしまったら普通の人はイヤなので必要のない治療を受けることになる。これが検診のデメリット。なんでも調べればいいわけではない)

  • ヨーロッパ成人における甘い飲料の摂取と2型糖尿病の頻度:EPIC-InterActの結果

Consumption of sweet beverages and type 2 diabetes incidence in European adults: results from EPIC-InterAct
by The InterAct consortium
http://www.diabetologia-journal.org/
http://www.diabetologia-journal.org/files/Romaguera.zip
(PDFが複数個ダウンロードできる)
ニュースでは1日1杯(12オンス:約350 mL)の砂糖入り飲料の摂取で糖尿病リスクが22%増加すると報道