食品安全情報blog過去記事

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EUのネオニコチノイドについて

ScienceInsider
European Commission Goes Ahead With Controversial Pesticide Ban
by Tania Rabesandratana on 29 April 2013,
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2013/04/european-commission-goes-ahead-w.html?ref=hp
欧州委員会は、ミツバチに有害な可能性のある、広く使用されている3つの殺虫剤の2年間の一時停止を、EU各国の判断が割れる中、進める。
2回の投票で結論が出なかったため委員会は提案を採択することができる。
ドイツは3月に棄権だったが今回は賛成した。一方英国は前回棄権で今回は反対。
2年間の制限はミツバチにとって魅力的なトウモロコシ、綿、ひまわり、菜種について、12月1日から実施される。EU全域で、一時停止に反対した国でも実施される。

  • ヨーロッパはミツバチを守るために農薬を禁止する

Natureニュース
Europe to ban pesticides in effort to protect bees
29 Apr 2013
http://blogs.nature.com/news/2013/04/europe-to-ban-pesticides-in-effort-to-protect-bees.html
世界中でミツバチのコロニーの死亡を引き起こしている原因については誰も確実にはわからないが、ネオニコチノイドと威張れる殺虫剤が一部関与している可能性がある。本日ヨーロッパの健康コミッショナーTonio Borgが、ミツバチを守るために欧州委員会は最も良く使用されている3つの全大陸での厳しい制限を推進する、と述べた。
これらの殺虫剤については激しい議論がおこっていた。
1月にEFSAがミツバチにとって魅力的な作物に3つのネオニコチノイドを使用すべきでないと結論し、欧州委員会は2年間の使用制限を提案した。3月にはこの計画に十分な支持を得られなかったが4月29日の投票では賛成15反対8(英国を含む)棄権4で行き詰まった(採択には約74%以上の賛成が必要)。ヨーロッパの決まりではこの場合欧州委員会が推進するかどうかを決められる。Borgはミツバチを守るために最善を尽くすと述べた。制限は12月1日から適用される。
この禁止は英国の主任科学助言者Mark Walportの見解に反する。彼は先週FTに「一時的使用禁止はヨーロッパ大陸の作物生産、農業コミュニティ、消費者に有害であろう」と書いている。環境団体はこの決定が予防原則の勝利だと喜んでいる。2年間は農薬がミツバチに影響するのかしないのかを示すのに十分かどうか不明だと言う研究者もいる。ほかに小麦などの作物には使用され続けるのでもっと広範な禁止が必要だという科学者もいる。

  • EUのミツバチに有害な殺虫剤に反対の投票−専門家の反応

EU votes against bee-harming pesticides – experts respond
April 30th, 2013.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2013/04/30/19910/
欧州委員会がミツバチに有害な殺虫剤の使用を2年間停止することに賛成の投票をした
英国SMCが専門家のコメントを集めた
ロンドン大学Royal Holloway動物行動リーダーNigel Raine博士
この一時停止がミツバチにとって良いかどうかは代わりに使われる害虫管理方法による。もしこの禁止によって作物への農薬散布が増えたら結果はさらに悪くなる可能性がある。
サセックス大学生物科学教授David Goulson
IPMに立ち返る時だ。しかしネオニコチノイドは小麦などには予防的に使われ続ける。
エクセター大学環境持続可能性研究所Juliet Osborne博士
一時停止期間中の監視が重要
サセックス大学国際ミツバチ研究協会科学主任Norman Carreck
一時停止でどうなるかは不明。ネオニコチノドが使えないと古いタイプの殺虫剤が使われ、それらの影響についてはネオニコチノド以上に我々はよく知らない
ケンブリッジ大学研究員でNERC知識交換フェローLynn Dicks博士
これは予防原則の勝利である
Rothamsted研究所生物化学と作物保護部門長Lin Field教授
科学的リスク評価によってではなく政治活動により決定がなされたことを懸念している。