食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

妊婦は妊娠を楽しもう

Let pregnant women enjoy their pregnancy
Posted by Andrew Wadge on 05 June 2013
http://blogs.food.gov.uk/science/entry/let_pregnant_women_enjoy_their
女性が妊娠したら、人生のエキサイティングな時期を楽しむためのあらゆる援助を提供されるべきである。バランスのとれた食生活をする必要性についての明確な助言を提供することでFSAはそれに貢献してきた。
だから私はRCOGの「妊娠中の化学物質暴露:子どもの健康に対して、証明されていないがあるかもしれないリスクに対応する」というペーパーを呼んで驚いた。
著者は「全ての妊娠女性が日用品に含まれる化学物質に暴露されている」と書き、さらに「ほとんど根拠のない主張に基づくメディアで報道される怖い話が(化学物質の影響についての)不確実性をさらに大きくしている」ともいう。
それに異論はないが、その後「安全第一」で、リスクが最小限あるいは結局有害でないことが証明されてもリスクがあるとみなすべきであると勧めていることに驚かされた。
これに基づいて彼らは妊婦に加工食品を避け生鮮食品を使う、容器に入った食品の使用を避ける、妊娠・授乳中に新しい家具やくっつかないフライパンや車をできるだけ買わないなどの助言をしている。
もちろん、日常的にいろいろな化合物に暴露されているというのは科学的に正しい。さらに、FSA本部に隕石が落下するかもしれない、あるいはSpurs(サッカーチーム)がプレミアリーグで勝つかもしれない(私の希望)というのも正しい。しかし我々の専門家としての職務は、FSAでもRCOGでも、根拠を重み付けし、利用しやすい役立つ助言を提供することで、それ以下のことをするのは無責任である。
EUの規制では、食品と接触する物質は、胎児を含めてヒトの健康を脅かすような量の成分を食品に移行させてはならないと規定し、定期的に検査している。
過去にFSAは妊娠女性のためのバランスのとれた食生活と少しの注意すべき食品リストからなる明確な助言を提供している。
我々は妊娠女性を決しておこらないだろう何かについて心配させるより、この立場を守る。

  • Sense about science

RCOGの、妊娠中の化学物質暴露についての報告書
RCOG report on chemical exposures during pregnancy
5 June 2013
http://www.senseaboutscience.org/news.php/326/rcog-report-on-chemical-exposures-during-pregnancy
RCOGが「妊娠中の化学物質暴露:子どもの健康に対して、証明されていないがあるかもしれないリスクに対応する」という科学的インパクトペーパーを発表した。
これについてTracey Brownの批判などが取り上げられたメディアへのリンクを追加した。

  • 英国SMC

妊娠と化学物質暴露についての報告書への専門家の反応
expert reaction to report on chemical exposure and pregnancy
June 5, 2013
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-report-on-chemical-exposure-and-pregnancy/
RCOGが妊娠女性に対して、よくある化学物質が胎児に与える影響については情報がないとしながら各種食品や家庭用品を避けるべきだという助言を発表した
ケンブリッジ大学David Spiegelhalter教授
これらの予防的「用心するに越したことはない」助言は必ずしもコストがかからないわけではない。それは不安のもとになり、良くない食生活や喫煙や飲酒についてのよく知られた有害影響への注意をそらす。そしてメリットがあるかどうかわからない。
Leicester大学Andy Smith教授
妊娠中の胎児または母乳を与えられている乳児への有害かもしれない物質−合成だろうと天然だろうと−の暴露について、実際のリスクが不確実であるにも関わらず、懸念が増えている。著者らは心配な人向けにそのようなものへの暴露を減らす方法を示唆した。食事の注意やパーソナルケア用品や「ナチュラル」レメディを避けることなどで、同時に良い食生活と禁煙、禁酒の大きなメリットも述べている
McMaster大学オンタリオ校Warren Foster教授
いくつかの疫学研究で一部の化学物質暴露と一連の健康影響が関連づけられているが、これらは関連を示しただけで因果関係を示したものではない。さらに著者が指摘しているように他の研究では再現されていない。環境中の汚染物質濃度は減り続けている。分析法の進化で10年前は検出できなかった化合物が組織から検出される。さらに組織に測定可能な化合物が存在することがそのまま健康への悪影響になるわけではない。ただし心配な人が生鮮食品の多い食生活にすることは健康的な選択肢であろう。

  • RCOG

RCOGの発表:母親になる予定のヒトは意図しない化学物質暴露に注意すべきである、と専門家は言う
RCOG release: Mothers-to-be should be aware of unintentional chemical exposures, say experts
05/06/2013
http://www.rcog.org.uk/news/rcog-release-mothers-be-should-be-aware-unintentional-chemical-exposures-say-experts
RCOG が発表したScientific Impact Paperでは、影響については不確実であるが生まれてくる子どもへの有害影響を最小化するために化学物質の暴露源や暴露経路に注意すべきである、と言う。妊娠中の健康的ライフスタイルの選択については多くのガイダンスがあるが、化学物質によるリスクの可能性についての公的助言はない
全文は以下からダウンロードできる
妊娠中の化学物質暴露:子どもの健康に対して、証明されていないがあるかもしれないリスクに対応する
Chemical Exposures During Pregnancy (Scientific Impact Paper 37)
http://www.rcog.org.uk/womens-health/clinical-guidance/chemical-exposures-during-pregnancy-scientific-impact-paper-37
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