食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 雑誌の編集者たちが毒性について競り合う

Natureニュース
Journal editors trade blows over toxicology
Daniel Cressey
20 September 2013
http://www.nature.com/news/journal-editors-trade-blows-over-toxicology-1.13787
ヨーロッパのビスフェノールAやその他の内分泌撹乱物質の規制を巡って議論が燃え上がる
ビスフェノールAの規制を巡る乱闘にさらに数十人の研究者が加わった。この乱闘は欧州委員会内分泌撹乱物質に関する政策レビュー報告書がリークされて7月にFood and Chemical Toxicologyにその報告書の提案の根底にある仮定について批判するDietrichらによるエディトリアルが発表されたことに端を発する。8月に41人の科学者がEnvironmental Healthにコメントを発表し、今回は別のグループがEndocrinologyにその批判を批判するエディトリアルを発表した。Toxicological Scienceには9月5日に、安全性についての議論に多くの毒性学者が「傍観者」であることを批判しつつもDietrichらを支持するエディトリアルが掲載されている。
内分泌撹乱物質についての政策決定は分野をまたがった科学に基づくべきである:Dietrichらへの反応
Policy Decisions on Endocrine Disruptors Should Be Based on Science Across Disciplines: A Response to Dietrich et al.
A.C. Gore et al.,
Endocrinology September 18, 2013 en.2013-1854
http://endo.endojournals.org/content/early/2013/09/18/en.2013-1854

安全第一のハザード:トキシコロジー学会がヒトと環境の安全性に関する議論にどのように貢献すべきかについての展望
The Hazards of Playing it Safe: Perspectives on How the Society of Toxicology Should Contribute to Discussions on Timely Issues of Human and Environmental Safety
http://toxsci.oxfordjournals.org/content/early/2013/09/05/toxsci.kft201
(先の記事は
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20130716#p7
各分野の専門家が協力する、ことと、専門でない分野への言及を専門家と同じ重みで扱えと主張することは違うけど。それって専門性軽視だし)

Stop Nosodes
http://www.stopnosodes.org/
Stop Nosodesキャンペーンの結果として、ヘルスカナダはホメオパシーをワクチンの代用品として宣伝することをやめさせるための対応を行った。製品ラベルに「この製品はワクチンの代用品となるものではない」と警告表示する必要がある。

  • 関節リウマチ用の銅のブレスレットと磁石リストストラップ−鎮痛および抗炎症作用:無作為二重盲検対照化クロスオーバー試験

Copper Bracelets and Magnetic Wrist Straps for Rheumatoid Arthritis – Analgesic and Anti-Inflammatory Effects: A Randomised Double-Blind Placebo Controlled Crossover Trial
Stewart J. Richmond et al.,
PLoS ONE 8(9): e71529.
http://www.devicewatch.org/reports/bracelets.pdf
結論:意味のある効果はない
こららの装置は特に有害影響はないが早期診断と効果的治療法の選択が遅れるという機会費用とはなる

  • 大気汚染への対応

Action on ambient air pollution
The Lancet
Volume 382, Issue 9897, 21–27 September 2013, Pages 1000
今週号のLancetには大気汚染の健康への悪影響についてのさらなる根拠となる論文を掲載している。今や大気汚染が急性の心血管系イベントに悪影響があることは明確になった。
良い知らせは中国が石炭の使用量を減らし大気汚染を減らす計画を立てたことである。インドも続くべきであろう。欧米も粒子状物質の濃度規制値を引き下げるべきである。
Francesco Forastiere, Nera Agabiti
Assessing the link between air pollution and heart failure
The Lancet, Volume 382, Issue 9897, 21–27 September 2013, Pages 1008-1010
Anoop SV Shah, et al.,
Global association of air pollution and heart failure: a systematic review and meta-analysis
The Lancet, Volume 382, Issue 9897, 21–27 September 2013, Pages 1039-1048

  • ネガティブ思考の力

The Power of Negative Thinking
By Berkeley Wellness September 20, 2013
http://www.berkeleywellness.com/healthy-mind/mind-body/article/power-negative-thinking
期待や信仰は病気や健康に大きな力を持つ。これは人々がニセの錠剤や治療を行ったあとに症状が改善するプラセボ効果のもとであるが、その期待がネガティブなものだったらどうなるだろうか?プラセボの邪悪な双子であるノセボ効果が発動する。負の期待、恐怖、不安は現実に人を病気にする。
ノセボ効果はメディアが健康リスクについて報道すると、それに根拠が無くても、報道だけで実際に有害影響を引き起こしうることを説明する。これは最近Journal of Psychosomatic Researchに発表された電磁波過敏症についてのドイツの研究で見られる。
147人の参加者の半分に低エネルギー電磁場(EMF)の有害影響の可能性についてのドキュメンタリーを見せ、残り半分には無関係な映画を見せた。それからアンテナつきのヘッドバンドを装着され、それはWiFiルータにつながっていてできるだけ身体の近くに信号を送るためと言われた。しかし実際にはWiFiもEMF暴露も存在しない。それでもEMFのドキュメンタリーを見た人たちは、特に事前に不安スケールが高かった人は、動揺や集中できない、手足がぴりぴりする、などの症状を報告し、それがEMFのせいだとする可能性が高かった。2人は症状が酷くて実験を中断した。
何年もの間EMFはがんの原因になるのではという懸念が提示されているが研究結果はほとんどのばあい関係ないというものである。一方電磁波過敏症は立証されていない。電磁波過敏症だと主張する人々は本物の電磁波にもニセの電磁波にも同じように反応する。
ほとんどの人はいくらかは暗示にかかり、しかも無意識におこるので、ノセボ効果を避けるのは難しい。もちろん健康リスクについて知っておくことは重要であるが、特にあなたが心配性なら、ネガティブな期待については注意した方がよい。そして新たに発見された健康ハザードについてのメディアのセンセーショナルな報道には注意するように。

  • カリフォルニアの農薬規制は欠陥がある、とUCLAの報告は言う

Pesticide regulation in California is flawed, UCLA report says
23-Sep-2013
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-09/uoc--pri092313.php
イチゴにヨウ化メチルの使用を認めているから、とのこと。ヨウ化メチルはオゾン層の枯渇原因となるとされた臭化メチルの2015年までの段階的廃止のためにその代用品としてクロルピクリンと組み合わせて使われるようになった。ヨウ化メチルは発がん性や神経毒性があり、これの使用を2010年に認めたことが欠陥事例である。
Risk and Decision: Evaluating Pesticide Approval in California
http://www.stpp.ucla.edu/node/474