食品安全情報blog過去記事

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EFSAはFoodRisCプロジェクトの最終結果を歓迎する

EFSA pleased to support final outcomes of FoodRisC project
24 September 2013
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/130924.htm
EFSAは今月初めEUが出資した、消費者の食品に関するリスクとベネフィットのコミュニケーションについての認識を検討する3年半の研究プロジェクトFoodRisCを終える会議に参加した。EFSAのコミュニケーション部門長Anne-Laure Gassinは「FoodRisCプロジェクトはEFSAの将来の仕事に役立つたくさんの成果を生んだ」と述べた。

  • FoodRisC

食品のリスクとベネフィットについてのコミュニケーションを促すFoodRisCプロジェクト
Press release: FoodRisC project facilitates communication on food risks and benefits
Brussels – 12 September 2013
http://www.foodrisc.org/press-release-foodrisc-project-facilitates-communication-on-food-risks-and-benefits_64.html
ヨーロッパの消費者は、食品のリスクやメリットについての膨大な量の、いくつかは矛盾するあるいは混乱すると認識される情報に、しばしば途方に暮れている。2013年9月12日に「食品関連問題についてのコミュニケーションの新しい課題」についてのFoodRisC/EFSA会合で、FoodRisCプロジェクトの産みだした研究成果が発表された。FoodRisCプロジェクトは食品に関連する問題を効果的に普及するためコミュニケーターを援助し、明確なメッセージにより消費者の理解を促進することを目的としたEUの出資した3年半のプロジェクトである。
このプロジェクトの成果を生かすためにFoodRisCは情報(ガイドライン、事例研究、TIPS、具体的事例、研究ツールなど)提供サイトを作った。(http://resourcecentre.foodrisc.org/
FoodRisCの研究者はコミュニケーション戦略を練る場合にはジャーナリストについて考慮することの重要性を強調する。ジャーナリストは広範な聴衆にメッセージを伝えるのに関与するだけではなく、メッセージの解釈や枠組みにも関与する。今日は専門家ジャーナリストと「市民」ジャーナリスト(つまりソーシャルメディアのユーザー)の両方が食品についてコミュニケーションをしているので、FoodRisCは両方の集団の「重要なインフルエンサー」にメッセージを伝えることを薦める。
食品の危機が起こったときには、伝統メディアとソーシャルメディアの違いについて考慮すべきである。このことを探るためにFoodRisCは最近ヨーロッパでおこった3つの危機についての伝統メディアとソーシャルメディアでの報道を調査した。その結果、Twitterやオンラインニュース、blogなどがますます重要なコミュニケーションチャンネルになりつつあることを示している。ソーシャルメディアのユーザーは伝統メディアのユーザーより非常に早く反応し、そして同時に速やかに興味を失う。
TwitterFacebook、動画や画像共有サイトのようなソーシャルメディアチャンネルは過去数年で一般的になり、人々がオンラインで過ごす時間が有意に長くなった。FoodRisCはコミュニケーターに何が言われていて誰が言っているのかを監視することを薦める。それにより消費者の認識についての知見が得られ、起こりそうな問題や現在議論されている問題を検出することができる。また間違った情報や誤解を修正する機会にもなる。最後が特に重要で、インターネットの情報は長い時間が経ったあとでも検索エンジンで発見される−エコーチャンバー効果−からである。
食品のリスクやメリットに関する消費者の「検索」行動について理解するためにFoodRisCはヨーロッパ9ヶ国で6000人以上を対象にウェブによる調査を行った。その結果消費者は食品の問題についてはテレビや新聞から最も多く学ぶことがわかった。インターネットについては、消費者はgoogleのような検索エンジンでキーワードを検索することから始めることが最も多い。FoodRisCはソーシャルメディアの役割は増加しているもののまだ伝統メディアの役割が大きいと結論した。
強力なコミュニケーション戦略を作るために、FoodRisCはコミュニケーターに特定事例での消費者の反応をよく見てそれに対応することを薦める。FoodRisCは消費者が新しい、矛盾する、あるいは明確でないメッセージにどう反応するかを探るためのオンラインツールVIZZATAを開発した。これを用いて2013年1月のアイルランド食品局が牛肉製品にウマやブタのDNAを検出したと発表した際の消費者の懸念を解析した。研究の結果、最初のうちは消費者の健康への懸念はほとんどなく、主に製品の表示が正しくないことを心配していたことが示された。
最後に、このプロジェクトでは人々の食品のリスクとベネフィットの理解についての定量研究を行った。詳細インタビューにより、専門家や食品関係者はしばしば食品のリスクを「必ずしも避けることができるとは限らない」事態と認識しているのに対して、消費者はしばしば食品のリスクを「避けられるし避けるべきだ」と感じていることがわかった。一般的に消費者は食品のリスクはヒトの活動によるもので誰かの無責任のせいだと信じている。同時に食品のベネフィットについては栄養価や健康によいことと結びつけている。効果的コミュニケーションには意図する聴衆を理解することが重要なステップである。