食品安全情報blog過去記事

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その他

  • オメガ3を摂るには魚を食べよう

Go Fish For Omega-3s
By Barkeley Wellness September 24, 2013
http://www.berkeleywellness.com/supplements/other-supplements/article/eat-fish-omega-3s
数ヶ月前、魚油サプリメントについてのがっかりする知見を伝えた我々の記事で、魚を食べることのメリットは、特に心血管系に対しては、もっと明確であると指摘した。その後Annals of Internal Medicineに発表された研究はもっと強い根拠を提供している。
この研究は65才以上の2700人の健康なアメリカ人の血中海洋性オメガ3脂肪酸濃度を1992年に測定し、2008年に死亡率を解析した。サプリメントを使用している人は除外した。その結果、血中オメガ3濃度が最も高かった群は、最も低い群に比較してその後16年間での死亡率が27%低かった。特に心血管系疾患による死亡(不整脈によるものが特に)が少なく、平均2.2年長生きした。この知見は65才以降で魚を食べることが寿命を延ばす可能性を示唆する。研究の弱点は血中オメガ3濃度の測定が研究開始時の1回のみであるということである。研究者らは週に2回脂肪の多い魚を食べることで大きく血中オメガ3濃度が上がると推定している。それ以上食べても影響は小さくなる。

  • 肥満「詐欺」の謎

Natureニュース
Mystery over obesity ‘fraud’
Declan Butler
24 September 2013
http://www.nature.com/news/mystery-over-obesity-fraud-1.13810
7月にBBRCに肥満について意味のある知見を発表した論文の著者は幽霊のようだ。著者は論文に記載された組織には存在しないだけではなく研究者としての痕跡もない。この事例は過去にあった、ピアレビューの弱点を暴こうとしてニセの論文を提出したというものではなく、論文に報告されている知見は実際、事実である。ハーバード大学医学部がん研究所のBruce Spiegelmanによると同じような知見を彼が6回学会で発表していて、現在論文を執筆中であった。彼はこのBBRCの論文は彼の仕事を妨害する目的ではないかと疑っている。現在取り下げられたこの論文の5人の著者はギリシャの大学を所属機関と称している。BBRCの出版社ElsevierはNatureにこれが犯罪にあたるのかどうかを含めて調査中であると言っている。

  • 除草剤が除草しなくなったら何が起こる?

What Happens When Weed Killers Stop Killing?
Robert F. Service
Science 20 September 2013: Vol. 341 no. 6152 p. 1329
先週のACS年次会合でのシンポジウムで、除草剤耐性の専門家である西オーストラリア大学のStephen Powlesが「米国の農家は危機に直面している」と述べた。米国では最もよく使われている除草剤グリホサートに耐性のある雑草が拡大している。しかし販売間近の除草剤はあまりなく、そのどれもが作用メカニズムが新しいものではない。
除草剤耐性は何十年ものあいだ盛衰を繰り返してきた。ほとんどの除草剤は全ての雑草を殺せるわけではないので農家は作物や除草剤を回転させて栽培を続けてきた。この光景は1990年代にグリホサート耐性遺伝子組換え作物の販売で大きく変わった。グリホサートは何でも簡単にコントロールするのに使われた。しかし過剰使用には耐性雑草を選別するリスクがある。特に懸念されているのはAmaranthus rudisを含む雑草で、2008-2009年の調査ではミズーリ州の41郡の144のアマランサス群生のうち69%がグリホサート耐性だった。このため農家は他の除草剤を使うようになっており、グリホサート耐性の拡大は遅くなった。しかし雑草は他の除草剤へも耐性を獲得するだろう。除草剤を多く使う必要があることは農家の収入源に結びつく。農薬企業は開発に全力を注いでいるが新しい作用機序の除草剤は20年販売されていない。効果的ですぐに分解されて他の生物への有害影響がない新しい除草剤がそのうち発売されるだろうと農家は思っているが、そんなものは開発ラインにはない。