食品安全情報blog過去記事

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その他

  • ソチで新しいドーピング物質が出回っている可能性がある

ScienceInsider
New Doping Substance May Be Circulating in Sochi
7 February 2014
http://news.sciencemag.org/health/2014/02/new-doping-substance-may-be-circulating-sochi
ドイツWDRネットワークが2月2日のテレビで放送したところによるとロシアの科学者が「フルサイズMGF」と呼ぶ何かを100 mg 10万ドルで売っていてそれを反ドーピング専門家Mario Thevisに持ち込んだところ、筋肉の成長を促進するヒトインスリン様成長因子(IGF)-1タンパク質の変異種であるmechano growth factor (MGF)であることを確認した。これは現行の検査法では検出されない
Mario ThevisへのScienceInsiderのインタビュー
Q:何を見つけたのか?
M.T.:最も近い説明はヒトIGF-1の4型である。メカノ成長因子と呼ばれるのは筋組織に機械的刺激が与えられると4型のmRNAが増えるからである。
多くのグレイマーケットでMGFと称するものを販売しているが通常単に短いだけのペプチドである。15年前に生物学的活性があると言われたが最近の研究では生物作用はない。フルサイズMGFはIGF-1同様高い生理活性をもつが分子量が違う
Q:現在のドーピング検査で検出できるか?
M.T.:抗体あるいは質量分析による検査なので検出されない可能性がある
Q:この検体は?
M.T.:ずっと文献を調査してきた。極めて高純度であり従って極めて危険である
Q: 極めて危険?
M.T.:臨床試験が行われていない。データがない
Q:アスリートに出回っている可能性があるならすぐに検査対象にできないのか?
M.T.:可能ではあるが検査の妥当性を示さなければならない。
Q:アスリートの筋肉に天然に存在する可能性は?
M.T.:文献上はない。天然にできるが血中から検出されたことはない。しかし陽性だった場合に天然である可能性を排除しなければならない
Q:オリンピックはクリーンだろうか?
M.T.:問題がわかっていて検査できる。

  • GMO大豆花粉がメキシコのハチミツの販売を脅かすというSmithsonianの報告

Smithsonian reports GMO soybean pollen threatens Mexican honey sales
7-Feb-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-02/stri-srg020514.php
Scientific Reportsに2月7日オンライン発表された報告によるとメキシコのCampeche地区の9つの巣の6つのハチミツから大豆の花粉が検出された。EUの厳しい規制によりヒトの食用ではないGMOの花粉が含まれるとハチミツが拒否されるが、Campeche地方で栽培されているのはヒトの食用に認可されているGMOである。しかし輸入業者は詳しい同定までしない。

  • 心理的ストレスと健康のための瞑想プログラム 系統的レビューとメタ解析

Meditation Programs for Psychological Stress and Well-being
A Systematic Review and Meta-analysis
Madhav Goyal et al.,
JAMA Intern Med. Published online January 06, 2014
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1809754
瞑想は心理的ストレスの負の影響を少し減らすことができる

  • 英国は研究に使用される動物を減らすことに「全身全霊を尽くす」

Natureニュース
UK 'absolutely committed' to reducing animals used in research
07 February 2014
http://www.nature.com/news/uk-absolutely-committed-to-reducing-animals-used-in-research-1.14688
英国の科学大臣は研究に使用される動物を減らす努力をするがそれは動物を使う科学の全体数を減らすことを意味しないだろうとも言う
英国の動物を使った研究は1970年代に年550万匹でピークとなり2000年に250万まで減ったがその後増加し2012年には400万になった。増加の主な原因はGM動物の交配で、生まれただけで「実験数」と数えられるので通常の「実験」とみなされるもの自体は年200万匹であまり変化はない

  • 子どもの白血病は「電線と関連しない」

BBC
Child leukaemia 'not linked to power lines'
7 February 2014
http://www.bbc.co.uk/news/health-26068363
英国で1962年から2008年に白血病になった16500人の子どものデータを解析した。
1980年代以降の電線の近くに住むことにリスクの増加は見られなかったが1960年代と70年代はリスクが高かった。

  • 英国の食品の1/3はにせものでインチキ成分をふくむというショッキングな検査結果

Third of food in UK is FAKE and contains bogus ingredients, shock lab tests reveal
http://www.mirror.co.uk/news/uk-news/third-food-uk-fake-contains-3126964
ハムの半分が水でハーブティーにはハーブは含まれずモッツァレラのチーズ成分は50%以下
ハーブティーが下剤というの以外何をどう調べたのかよくわからない記事。野菜ジュースから昆虫DNAが!とか言ってみたくなる)

  • 何故栄養はこれほど混乱しているのか

シドニーモーニングヘラルド
Why nutrition is so confusing
February 10, 2014 -
Gary Taubes
http://www.smh.com.au/lifestyle/diet-and-fitness/why-nutrition-is-so-confusing-20140210-32aod.html
2014年のダイエットシーズンになって6週間、体重は減ったか?しかしまた戻るだろう−何故?意志が弱いのか技術が足りないのか?肥満は今や大きな問題である。
1960年代から栄養科学には二つの矛盾した観察がある。ひとつは我々は健康的な食生活と体重維持の方法を知っているということ、そしてもう一つは肥満が増えているということである。1960年代のアメリカ人の肥満は13%以下だったが今は3倍になり糖尿病は7倍になった。一方肥満に関する論文は1960年には1100以下だったのが昨年は44000になり合計60万報以上が発表された。研究がたくさんあって知識は明確になっただろうか?もし肥満についての理解が進んだのならどうして我々は失敗しているのだろうか?
もう一つの可能性は60万の論文は、数万冊のダイエット本と同じくノイズでしかないということである。栄養研究コミュニティは信頼できる知識を生み出すのに失敗している。理由は理解できる。科学は仮説をたてそれを調べる。しかし栄養については仮説を検証する試験、つまり無作為対照臨床試験が困難である。栄養学はこの現実に対応するのに根拠の水準を下げた。動物実験だったり短期間のヒト試験だったり観察だったり。仮説が事実として扱われる分野となった。これは許容できない事態である。比較的明白で合意のある事実はわれわれが何かを食べ過ぎているということである。