食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース

  • 農薬研究が激しい反発をよぶ

ScienceInsider
Pesticide Study Sparks Backlash
10 February 2014
http://news.sciencemag.org/environment/2014/02/pesticide-study-sparks-backlash
Ralf Reskiが物議を醸しているフランスの生物学者Gilles-Eric Séraliniの最新の論文を読んだとき、ただちにこれには関わりを持ちたくないと決心した。SéraliniのBioMed Research Internationalの論文は農薬が培養ヒト細胞をいかにして殺すかを説明し規制当局が想定しているよりはるかに有害であるという身の毛もよだつような結論をしていた。この知見は驚くべきことでも意味のあることでもないと言う科学者の批判もあるが環境団体の農薬規制見直し要請の抗議の嵐のきっかけになった。Reskiにとっては手に負えないことだった。彼はドイツFreiburg大学の植物科学者で、論文を読んですぐその雑誌の編集者を辞めウェブサイトから名前を削除するよう要請した。「私はSéraliniにこの種の扇動の場を提供する雑誌に関わりたくない」と出版社であるHindawi Publishing Corporationにメールした。
多くのGM食品支持者にとってSéraliniは既に大嫌いな人物である。2012年にはラットに腫瘍ができたと発表して多くのGM反対者がGM作物の危険性の根拠として広く宣伝されたが科学者は批判し論文は後に取り下げられた。今度の論文では例えば除草剤ラウンドアップはその有効成分であるグリホサートの125倍細胞に毒性が高いと主張している。毒性学者はこの研究について保留している。実験デザインややり方に問題がある。
Major pesticides are more toxic to human cells than their declared active principles
http://www.hindawi.com/journals/bmri/aip/179691/
(何をやったかというと培養細胞に製剤と有効成分を加えて細胞が死ぬかどうかを見る。高濃度では細胞が死ぬけれどその死ぬ濃度が製剤のほうが低いという主張。例えばグリホサートだと半分くらい死ぬのに数千ppm必要だがラウンドアップだともっと少ない濃度だとか。こんなものを掲載する雑誌もどうかと思うがHindawiだし。細胞を培養しているディッシュに加えて死ぬものなどたくさんあるし界面活性剤が共存したらダメ。)

  • 人気のないGMトウモロコシのヨーロッパでの栽培はさまよう

Cultivation of Unpopular GM Maize in Europe Hangs in the Balance
11 February 2014
http://news.sciencemag.org/environment/2014/02/cultivation-unpopular-gm-maize-europe-hangs-balance
DuPont Pioneerによるトウモロコシ1507の栽培についてEU28ヶ国中19ヶ国が反対した。しかし欧州委員会では栽培を認可している。この政治的もつれはEUのこの分野での規則の複雑さを露わにする。この申請は13年も検討されていてEFSAは栽培は安全だとしている。

  • 米国は象牙の販売の取り締まりを発表

U.S. Announces Crackdown on Ivory Sales
11 February 2014
http://news.sciencemag.org/environment/2014/02/u.s.-announces-crackdown-ivory-sales
米国政府は象牙やその他の野生生物製品の売買と戦う国家戦略を発表した。特に象牙とサイカクの取引を中止することを目指している。サイカクは1ポンド45000ドルと金より高く、象牙は約1500ドルで販売されている

Natureニュース
Crowd-funded HIV vaccine project sparks debate
Erika Check Hayden
10 February 2014
http://www.nature.com/news/crowd-funded-hiv-vaccine-project-sparks-debate-1.14675
麻酔専門医で起業家のReid RubsamenはImmunity Projectとよぶプロジェクトにクラウドファンディングで40万2000ドルを集めたがこのプロジェクトにはHIV研究者と科学的戦略が欠けている。ピアレビューされたデータよりマーケティングや目新しい技術で資金を集めるクラウドファンディングに疑問が提示されている
マザーズでも胡散臭いのあるのに)

  • 英国の「リーガルハイ」による死亡増加

BBC
Rise in deaths from 'legal highs' in the UK
12 February 2014
http://www.bbc.co.uk/news/health-26089126
いわゆる「脱法ドラッグ」による死亡が2009年の10件から2012年の68に増加している
脱法ドラッグは法による規制が十分でない化合物で目抜き通りやウェブサイトで堂々と販売されている。特定化合物を禁止してもすぐに新規化合物が現れる。ヨーロッパ薬物監視センターによると2012年だけで73の新規化合物が同定されている
(被害事例の紹介)

  • 最初は成功しなくても、何度でも挑戦しよう、と栄養士は言う

DAA(オーストラリア栄養士会)
If at first you don’t succeed – try, try again, say dietitians
Tuesday 11 February 2014
http://daa.asn.au/wp-content/uploads/2014/02/Weight-loss-New-Year_FINAL.pdf
25-49才のオーストラリア人は過去1年に55%が減量を試み、10人中8人は望んだ量を達成しない。
2月17-23日は健康的な体重週間でもあり、減量に失敗してもがっかりすることなく何度でもトライすることを薦める。簡単な「痩せる方法」ではなく、健康第一に、小さなことから初めて、周囲に助けを求めよう。

  • 私は煙草を吸うけれど喫煙者じゃない

I smoke, but I'm not a smoker
11-Feb-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-02/uoc--isb021114.php
カリフォルニアの成人の喫煙率は劇的に減ったが、カリフォルニア大学San Diego校医学部の研究者によると驚くほど多数の人が煙草は吸うけれど喫煙者ではないと考えていることを報告した。推定396000人(州の喫煙人口の12.3%)が測定可能なレベルで煙草を吸うが「喫煙者」に分類されることを拒否する。

  • 米国の子どもや青少年のカフェイン摂取の傾向

Trends in Caffeine Intake Among US Children and Adolescents
Amy M. Branum et al.,
http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2014/02/04/peds.2013-2877.abstract
1999年から2010年には全体のカフェイン摂取量に特に意味のある傾向はみられないが、炭酸飲料の寄与が減ってコーヒーやエネルギードリンクの寄与が増加している

  • 甘味と酸味:メディアは果糖がアメリカにとって悪いものだと決めた;しかし科学はそれを疑っている

Forbes
Sweet And Sour: The Media Decided Fructose Was Bad For America; But Science Had Second Thoughts
Trevor Butterworth, 2/06/2014
http://www.forbes.com/sites/trevorbutterworth/2014/02/06/sweet-and-sour-the-media-decided-fructose-was-bad-for-america-but-science-had-second-thoughts/
高果糖コーンシロップHFCSは1970-80年代の砂糖の価格変動に対応して技術開発された。そして成功し米国市場を征服した。ただし弱点はある。ひとつは果糖とブドウ糖のバランス、もう一つはその拡大時期が肥満危機のタイミングと一致したこと。人々は複雑な物事を簡単にするための魔法のダイエット法や魔法の食品を探すのと同様に悪魔の成分を探していて、HFCSは新たな標的になった。米国医師会や栄養士会はHFCSが肥満の原因であるという根拠は乏しいとしているものの本やネットでは「HFCSの恐怖」が拡散している。
これについて新しい調査でメディアが原因であることを明らかにしている。
彼らは新しい研究発表や学会発表などの10のイベント(果糖についての議論の両方で同じ数)についてどう報道されたかを調べた。結果はあっとうてきだった。報道の90%はHFCSに批判的でほとんどがどのような実験がどう行われたかについての科学的詳細事項を欠いていた。奇妙なことに栄養や公衆衛生などの科学コミュニティが果糖について他の糖と変わらないことを確信すればするほどメディアは果糖が悪いと断定するようになった。

高果糖コーンシロップとその他の栄養源となる甘味料のメディア報道
Media Coverage of High Fructose Corn Syrup and Other Nutritive Sweeteners
Kathryn Davis February 4, 2014
http://www.cmpa.com/media-coverage-of-high-fructose-corn-syrup-and-other-nutritive-sweeteners/