UK SMC
expert reaction to industrial chemicals and neurodevelopmental disorders
February 17, 2014
http://www.sciencemediacentre.org/22728/
Lancet Neurologyに発表された研究が工業化学物質と神経発達疾患の関連が示唆されるので規制のオーバーホールを求めている
QMUL病理名誉教授Colin Berry卿
有機水銀化合物や水銀が神経毒であることはわかっていてヒトの暴露量を減らすための対策はとられている。PCBについては根拠は明確ではない。このレビューで言及されている化合物の一部は既に使用されておらず世界的に汚染も減り続けている。レビューでは交絡因子を無視している。高濃度で明確な有害影響があるものを極めて微量でも有害だとしている。ビスフェノールAの場合と同様で、高濃度で有害だから低濃度でもそれがおこるとは限らない。一部の化合物は有用である。例えば使い捨てカテーテルに必要な物理的性状を与えるのにフタル酸は必須である。
ロンドン大学Tony Dayan毒性学名誉教授
Grandjean教授らのレビューは多数の工業用化学物質がヒトの脳の発育と機能に関連するとしているが、このレビューには限界がある。
引用している研究は多様でまとめて解釈するのは困難である。動物実験の結果をヒトに宛はめるのは注意が必要である。化学物質の暴露対策にはその物質によるメリットも考慮すべきである。
MRC毒性ユニットAndy Smith博士
関連を見いだした疫学研究は因果関係を証明したものではない。いつものように「天然」の数千もの化合物は考慮されていない。しっかりした根拠のない予防的アプローチは、最初は合理的に見えるかもしれないがあまりにも単純化しすぎている
Open大学神経病理脳行動科学リーダーPayam Rezaie博士
環境化学物質への出生前暴露が脳の発育に影響するかもしれないという根拠は増えていて、職業暴露を減らすための対策は行われている。しかし広く使われている化合物が発育中の脳に有害影響があるかどうかを確認するにはさらに研究が必要である
Southampton大学職業環境医学David Coggon教授
Lancet Neurologyがこの論文を出版する選択をしたことに驚いた。これは根拠を系統的に批判的にレビューしたものではない。例えば自閉症やADHDの増加は診断の変化なのかどうかを見極めるのは難しい。IQへのわずかな影響にも不確実性や交絡がある。論文に厳密さが欠けているため著者の主張の妥当性を評価するのは不可能である。
Bristol大学小児科周産期疫学Jean Golding名誉教授
環境に導入される化合物の、特に子どもへの、安全性が調べられていないという基本的主張には合意するが著者らが決定的ではない研究を根拠に怖がらせる主張をしていることは残念である。例えば自閉症やADHDの原因が環境中化学物質だとしているがそのようなしっかりした根拠はない。フッ素の有害影響の根拠とされた論文はたった1つで、それはフッ素濃度の違う村の子どもたちの平均IQを比較した研究で個々の子どものフッ素を計ってはいないし他の違いも比較されていない。これは良い根拠とは言えない。
Birmingham大学環境呼吸医学Jon Ayres教授
このレビューの主張は定量的というより情動的である。規制にはよりしっかりした根拠が必要である。
Oxford大学精神医学Charles Newton教授
私は著者が化学物質による有害影響の可能性を指摘したことは正しいと思う。例えば鉛がIQを下げることについての根拠は増えているが有鉛ガソリンはアフリカではまだ使われている。自閉症などのような神経発達疾患と神経毒との関連はまだはっきりしない