食品安全情報blog過去記事

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内分泌撹乱物質と男性生殖能力についての専門家の反応

SMC
expert reaction to endocrine disrupting chemicals and male fertility
May 12, 2014
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-endocrine-disrupting-chemicals-and-male-fertility/
EMBO Reportsに発表された各種内分泌撹乱化学物質のヒト精子への有害影響の可能性についての論文について
Queen Mary University of London病理名誉教授Colin Berry卿
In vitroの試験をin vivoにあてはめることには困難がある。著者らはこれをスクリーニングに使うことを示唆しているが最初に妥当性を確認する必要がある。次に齧歯類で影響が出るかどうか見て、それが生殖能力に影響するかどうかを確認するが必須である。

Sheffield大学男性病学上級講師Allan Pacey博士
科学者は何年もの間人工化学物質が環境や男性の生殖能力に影響するのではないかと心配してきた。これまでそれは主に「内分泌撹乱」という視点で、精子の数が少なくなるということだった。精子が卵に到達あるいは受精させる能力については研究は少なかった。従ってこの論文は精子の中のカルシウム濃度への影響をみるという新しい興味深いものである。しかしながらそのデータの解釈には注意が必要で、反射的に患者に助言したり政策を提案したりするのは避けるべきである。実験室で精子のカルシウムが変化したことと生きているヒトに何がおこるかの間には長い道のりがある。さらに疫学データからは男性の精子の質に影響する化学物質やライフスタイル要因は比較的少ない。従って私は本当にハザードであることを確信するには疫学研究が必要だと考える。
ロンドン大学Tony Dayan毒性学名誉教授
この仕事は一連の化学物質の精子の特定機能への影響をみたものである。この結果が毒性リスクなのかどうかはヒトの精子がどれだけの濃度の物質に暴露されているかによる。引用されている根拠は極めて限られたもので確認が必要である。名前を挙げられている化学物質の、既に存在する情報との比較が必要である

Direct action of endocrine disrupting chemicals on human sperm
Christian Schiffer et al.
http://embor.embopress.org/content/early/2014/05/08/embr.201438869