食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 胎盤には細菌が住んでいて胎児の健康に影響している可能性

ScienceNOW
Placenta Harbors Bacteria, May Impact Fetal Health
21 May 2014
http://news.sciencemag.org/biology/2014/05/placenta-harbors-bacteria-may-impact-fetal-health
これまで無菌だと考えられてきた胎盤に細菌がいることがわかった。これら微生物は口からやってきたようだ。ヒトマイクロバイオームプロジェクトの研究者らが320人の胎盤を集めて解析した結果。最も多かったのは病原性のない大腸菌
Natureニュースでも
Bacteria found in healthy placentas
http://www.nature.com/news/bacteria-found-in-healthy-placentas-1.15274

  • フランスで反GM活動家が無罪になったことに大きな批判

Uproar as anti-GM vine activists acquitted in France
21 May 2014
http://blogs.nature.com/news/2014/05/uproar-as-anti-gm-vine-activists-acquitted-in-france.html
2010年8月にフランス東部の実験中の遺伝子組換えブドウを破壊した54人の反GMO活動家が無罪になったことにフランスの科学者は憤慨している。12の研究所と大学が「重大な懸念」を表明する共同声明を発表した。控訴しているのでこれで終わりではない。
(フランスでは反GMOのためなら不適切な研究も犯罪さえも許されるみたいになっている)

  • ラベルではなく

エディトリアル
Not on the label
Nature Vol. 509 Issue 7501 399–400 21 May 2014
食品に遺伝子組換え表示をする米国の動きは飲み込みがたい
米国の小さな州であるバーモント州メープルシロップとアイスクリームで有名だが5月8日に遺伝子組換え成分を使って作った食品に表示を求める法案に署名したことで有名になった。これが米国で初になる。ただしこの法律の先行きは不透明で食品企業はただちに裁判に訴えると誓った。バーモントの動向を米国のGM食品拡大を制限する動きの最初の成功と推測したくなる。消費者団体Center for Food Safetyによると16州で35の同様の法案がある。全てがバーモントに続くわけではない。カリフォルニアとワシントンでは2012年と2013年に投票で否決されている。バーモントは米国で唯一上院が社会主義を標榜している州でどちらかというと例外である。しかし表示法は現在米国で流行している。
GM表示法には先例がたくさんあり、60ヶ国以上でGM食品には表示を求めている。それらの多くの国ではほとんどGM作物を栽培していない。米国の場合州により表示用件が違うことは企業にとって問題となる。米国では2013年の耕作地の約半分はGMである。2010年までに甜菜の95%はGMになっている。最終製品に遺伝子やタンパク質がなくても一部の州ではGM表示を求めている。一部の法ではGM作物由来のコーン油を使っただけで冷凍ピザにGMと表示することを求める。新しい技術が拡大するとさらに用語の定義が曖昧になる。シスジェニックやRNA干渉、DNA編集などの方法が開発され、初期の、細菌由来の除草剤耐性遺伝子をランダムにゲノムに入れていた時代から遥かに遠いところまできた。それなのに人々のGMに対する見方はあまり変わっていない。バーモントの表示法やその他の法は交配や種子を変異原性物質に暴露させて作った変化と同じであっても組み換えDNA技術を使ったかどうかで表示を要求する。そして製品がGMかどうか区別できない場合に法が実行できるかどうかも明確ではない。
GM食品を巡る問題は混乱し議論は過熱している。反対の理由は農業の工業化反対だったり環境への懸念だったりするが、消費者の多くは根拠とは関係なく健康リスクが大きいと信じている。研究者がこの混乱に巻き込まれたくないのは理解できるが、GM作物についての対話には科学的知見の更新が必要である。そうしなければ人々の議論と政治的規制は現実とはかけ離れたところで彷徨い続けるだろう。

  • 水を目覚めさせる

Waking Up Your Water
by Berkeley Wellness | May 21, 2014
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/food/article/waking-your-water
カロリーを余分に摂ることなく水を摂るにはただの水を飲むのがベストである。ただ多くの人にとってただの水はつまらないだろう。そこでフレーバーウォーターが流行しているのは驚くことではない。いくつかの選択肢がある。
一部のフレーバーウォーターは炭酸飲料と同じくらい砂糖を含む。カロリーなしのものもあり、それらには通常砂糖代用品が使用されている。ビタミンやハーブや抗酸化物質を加えてあるものもあるが単なる宣伝材料である。これらは値段が高いこととボトルがゴミになるので環境負荷が高いことが問題である。
最近流行なのは水に加えて使う濃縮フレーバードロップである。これらはボトルのごみを出さず値段も安い。
基本
水を楽しむための製品はたくさんある。天然だろうと人工だろうとそれらの製品の添加物を恐れる必要はない。しかし最も健康的で環境に優しい選択肢は水道水にレモンやライム、ミント、キュウリのスライスなどを加えることである。

  • Cameron首相が政府がハラル肉の表示を「レビューする」可能性を示唆

Telegraph
David Cameron suggests Government could 'review' halal meat labelling
09 May 2014
http://www.telegraph.co.uk/news/religion/10819493/David-Cameron-suggests-Government-could-review-halal-meat-labelling.html
多くの消費者がPizza Expressのピザなどのチキンがハラルであることを知らずに食べていたことが問題とされて(動物の殺し方がハラルの方が残酷だということらしい)首相まで発言する羽目に
消費者が意図せずハラルやコーシャーを食べてしまうことがないよう食品の表示法を要求するなどの動きがある。
(こういう安全性に関係ない項目で表示すべきことが増えると大事なことがわかりにくくなるのだけれど・・・異なる「消費者の権利」どうしの争いは「消費者団体」では調整できなそう)

  • 英国の20年にわたるセリアック病と疱疹状皮膚炎の発生率と有病率:集団ベースの研究

Incidence and Prevalence of Celiac Disease and Dermatitis Herpetiformis in the UK Over Two Decades: Population-Based Study
Joe West et al.,
Am J Gastroenterol 2014; 109:757–768; doi:10.1038/ajg.2014.55
http://www.nature.com/ajg/journal/v109/n5/full/ajg201455a.html
1990-2011年の英国Clinical Practice Research Datalinkの患者数を解析した。
セリアック病は10万人年あたり5.2から19.1に4倍になったが疱疹状皮膚炎は同時期に1.8から0.8に減少。セリアック病には大きな地域差があるが疱疹状皮膚炎にはない。
(セリアック病も疱疹状皮膚炎もグルテンに対する免疫反応が原因とされる病気、ただし診断基準は異なる。グルテンへのアレルギーが増えているなら両方増えると考えられるのにそうではない)