食品安全情報blog過去記事

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その他

  • ヨーロッパの農薬問題

Scienceニュース
Europe's pesticide problem
Monday, June 16, 2014
http://news.sciencemag.org/chemistry/2014/06/europes-pesticide-problem
ヨーロッパの川や湖の有機化合物についての最初の大規模リスク評価で農薬問題の大きさが明らかになった。半分近くの水系で魚や無脊椎動物や藻類に有害な量の農薬が検出されている。最も問題となるのは昆虫や藻類であるが、濃度の高い地域では処理していない水をヒトが飲むべきではないと研究者は言う。PNASにオンライン発表された。

Atlantic sharks making a comeback
Friday, June 13, 2014
http://news.sciencemag.org/plants-animals/2014/06/atlantic-sharks-making-comeback
北大西洋で1970年代から80年代に73%も減少したとされるホオジロザメが、保護の結果、1930年代から40年代レベルにまで戻ってきた。PLOS ONEに報告。サメファンにとって嬉しいことに5メートル以上のものもいた。
(海では会いたくない)

  • 新しい幹細胞の方法を否定する根拠が増加

ScienceInsider
Evidence mounts against new stem cell method
By Dennis Normile Monday, June 16, 2014
http://news.sciencemag.org/asiapacific/2014/06/evidence-mounts-against-new-stem-cell-method
Teruhiko Wakayama記者会見

Natureコメント
Stem cells: Taking a stand against pseudoscience
Elena Cattaneo& Gilberto Corbellini
16 June 2014
http://www.nature.com/news/stem-cells-taking-a-stand-against-pseudoscience-1.15408
Elena CattaneoとGilberto Corbelliniは、疑わしい幹細胞療法から患者を守るために働いてきた。この長く険しい戦いの経験を語る
科学者にとっては気のいい同僚と実験室で実験しているときが最も満足できるが、時に他のこともしなければならない−研究費の締め切りに間に合わなかったり脅迫状を受け取ったりすることになっても。イタリアの臨床基準の緩さが医療と患者を脅かしている時、居心地の良い実験室に留まってはいられない。
2009年にイタリアの民間組織Stamina財団が設立され、骨髄から採取した幹細胞をレチノイン酸で処理すると神経細胞になると主張した。創始者Davide Vannoniは科学者でも医師でもないがこの細胞を注射するとパーキンソン病筋ジストロフィーなどが治療できると主張した。彼は論文を発表したこともなく、国外の規制の緩いところに実験室を移した。多くの科学者がStaminaのプロトコールには欠陥があり効果があるという根拠はないと指摘したがイタリアの医療保険はこの方法にお金を払い議会は300万ユーロの臨床試験費用を払うことに合意した。私たち幹細胞の専門家の多くはこの治療法に反対することに時間を費やしてきた。5月28日に欧州人権裁判所が患者には科学的根拠のない治療を受ける権利はないと判断したのが最近の勝利ではあるが安堵してはいられない。Stamina財団の副社長が公立病院の理事代理に任命され、そこでStamina療法を子どもに行うことを裁判所が認めた。
絶望的になった患者はいつでも搾取されやすい。私たちはこの経験で得られた教訓をシェアして、他の研究者が搾取する疑似科学との戦いに参入するのに役立てたい。
以下Stamina財団との戦い
情動主体のテレビに出ると脅迫状が届く。何も知らない人たちが実験室のまわりで抗議し、大学は電子メールなどのサイバー攻撃に曝される。国際協力は不可欠。

  • ACCはDINPをProp 65リストから外すよう訴訟をおこす

米国化学工業協会(ACC)
American Chemistry Council Files Lawsuit to Remove DINP from Prop 65 List
June 11, 2014
http://www.americanchemistry.com/Media/PressReleasesTranscripts/ACC-news-releases/American-Chemistry-Council-Files-Lawsuit-to-Remove-DINP-from-Prop-65-List.html
カリフォルニア州によるDINPが「がんを誘発することが知られている」という判断は科学的根拠に基づいていない、という主張。

  • 加工赤身肉は男性の心疾患と死亡のリスクの高さと関連する

Processed red meat linked to higher risk of heart failure, death in men
Date:June 12, 2014
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/06/140612174620.htm
Circulationに発表された研究。ハムやサラミ、ソーセージなどの加工赤身肉を定期的に食べる男性は心疾患と心疾患による死亡リスクが高いかもしれない。加工赤身肉を避けるあるいは週に1-2回に制限することを薦める。45-79才の37035人の男性を1998年から2010年まで約12年フォローしたスウェーデン男性コホート研究。

  • Lancet エディトリアル

ワールド(炭酸飲料)カップ2014
The World (fizzy drink) Cup 2014
Volume 383, Issue 9934, 14–20 June 2014, Pages 2020
スポーツのイベントをファストフードや砂糖入り炭酸飲料企業が後援することについて。2014 FIFAワールドカップのスポンサーにはコカコーラ、マクドナルド、バドワイザーが含まれる。FIFAは社会的影響力があるのだからもっと対応すべき。
さらに2014年リオデジャネイロで開催された国際運動公衆衛生学会にすらコカコーラがスポンサーになっていた。お金を出すだけではなく製品の配布や宣伝もした。これは不見識である。

  • Lancet Neurology, Volume 13, Issue 7に、Issue 3, Pages 330 – 338のPhilippe Grandjeanらによる化学物質の神経発達毒性に関するレビューへのコメントとお返事掲載

Neurodevelopmental toxicity: still more questions than answers — Authors' response
Philippe Grandjean, Philip J Landrigan
The Lancet Neurology, Volume 13, Issue 7, Pages 648 - 649, July 2014
(木で鼻をくくったようなお答え
例えば不備のある症例報告1つだけで有害であることが確定と判断するのは拙速ではないかという質問に対して「モンサントがいつも言ってることと同じ」と答える。この言い方で納得するのは既に偏見がある人たちのみだろう。アメリカでADHD等の診断が増えている主な原因が水銀やフッ素だと考えている人は相当マイナー。IARCの神経毒性バージョンを作るという提言も、IARCができた時代から進歩していないのかと疑問。ハザードを同定すればいいという時代はとうの昔に終わったのだが。
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20140217#p10
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20140219#p5)

  • 研究者らは「スーパーバナナ」がビタミンA欠乏対策となることを望む

TIME
Researchers Hope ‘Super Bananas’ Will Combat Vitamin A Deficiency
June 16, 2014
http://time.com/2880579/super-banana-vitamins-nutrients-uganda-genetic-engineering/
ビタミンA(前駆体のアルファとベータカロテン)が多い遺伝子組換えバナナが米国でヒト試験開始。開発はオーストラリアQueensland工科大学、試験の資金はBill and Melinda Gates財団。2020年までにウガンダでの栽培を目指す。