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専門家はコメのヒ素に懸念の声を上げる、とJournal of Pediatric Gastroenterology and Nutritionが報告

Experts voice concerns over arsenic in rice, reports Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition
15-Jul-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-07/wkh-evc071514.php
委員会が乳幼児にはライスドリンクを与えないよう助言
欧州小児胃腸病肝臓栄養学会(ESPGHAN)と北米小児胃腸病肝臓栄養学会の公式雑誌Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutritionに発表された意見によると、コメとコメ製品の無機ヒ素は乳幼児の健康にとって懸念であり、暴露を最小限にするための対策が必要である。
ESPGHANの栄養委員会によると、子どもの食事の無機ヒ素濃度は規制されるべきである。
コメのヒ素の健康懸念−特に子ども
無機ヒ素は第一レベルの発がん物質であり、その長期暴露はヒト健康に有害影響がある、とコメントの主著者でクロアチアのUniversity Children's Hospital ZagrebのIva Hojsak博士は言う。しかし現在欧州や米国の食品中のヒ素含量は規制されていない。ヒ素には安全な量は存在しない。どんな量の暴露でも健康リスクが増える。
コメのヒ素濃度はコメの種類と栽培場所による。コメは特有の性質と水を張った田んぼで育てられることから、他の穀物よりヒ素が多い。
コメやコメベースの食品からは高濃度の無機ヒ素が検出されており、糠になる部分に特に多い。従って米ぬかから作られるライスミルクのような製品を摂取することによるリスクは白米より高くなる。特に乳幼児には懸念がある。コメが入手しやすく栄養があって安くアレルギー誘発性が低いことから、離乳の時の炭水化物源としてデンプンや粉、シロップの形で広く使われている。このことが成人より2-3倍高い乳幼児の無機ヒ素暴露の原因の一つになっている。ベビーフードやライスドリンクのヒ素濃度データはあるが、コメタンパク質ベースの乳児用ミルクについてのデータは限られている。
コメのヒ素への暴露を減らす助言
これらの懸念から、ESPGHAN栄養委員会は乳幼児用食品の無機ヒ素についての規制を強く求める。彼らの助言ではコメベースのミルクは牛乳アレルギーの乳児の「選択肢のひとつ」ではあるがヒ素含量は明示すべきで医者は保護者は考えるべきである。
他に委員会は乳幼児はコメ飲料を避けるよう薦める。著者は子どものヒ素米暴露を制限するために、食事にはコメの他にオート麦や大麦、小麦、トウモロコシなどの多様な穀物を含むことを薦める。
コメの摂取量が多い地域ではヒ素含量の最も低い品種を選んで子どもの食事にすべきである。委員会はコメやその他の食品の無機ヒ素含量と生涯にわたる健康影響についての研究を求める。
Arsenic in Rice - A Cause for Concern. A Comment by the ESPGHAN Committee on Nutrition
Journal of Pediatric Gastroenterology & Nutrition:
Post Acceptance: July 11, 2014
http://journals.lww.com/jpgn/Abstract/publishahead/Arsenic_in_Rice___A_Cause_for_Concern__A_Comment.98230.aspx
(PDF読める。IF 2.2位の雑誌。まあそうなる。)