食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

アルミニウムを含む制汗剤はアルミニウム摂取の一因となる

Aluminium-containing antiperspirants contribute to aluminium intake
26 February 2014
http://www.bfr.bund.de/cm/349/aluminium-containing-antiperspirants-contribute-to-aluminium-intake.pdf
制汗剤はロールオン、スティック、クリーム、エアゾール(スプレー)として入手できる制汗効果のある化粧品を示す。ある一定の時間汗腺の穴を塞ぐアルミニウム塩により制汗効果を示す。アルミニウムと制汗剤の安全性は批判的に研究され続けている。アルツハイマー病と乳がんに関して特に当てはまる。高用量のアルミニウムはヒトの神経毒性影響や動物実験で胎児毒性影響があることを科学的証拠は示している。
だが、化粧品の肌からのアルミニウムの吸収やその影響について多くはわかっていない。この分野では、ヒトのデータを含む重要な研究が足りない。一方、食品からのアルミニウムの吸収率と影響はかなり研究されている。土壌成分なので、アルミニウムは多くの植物ベースの食品や飲料水に天然に含まれている。さらにいくつかのアルミニウム化合物は、一定の量で食品添加物として食品に許可されている。制汗剤のほかに、口紅やアイシャドウのような装飾用化粧品や、歯磨き粉、日焼け止めにアルミニウムが含まれている。
食品からの経口摂取については、欧州食品安全機関(EFSA)は耐容週間摂取量(TWI)を1mg/kg bwと導出した。その健康評価において、EFSAは食品と共に摂取する全てのアルミニウム化合物の中間生物学的利用度を0.1 %とした。これは0.143μg/ kg bwの全身で利用可能な耐容一日摂取量に相当する。これは60kgの成人の全身で利用可能な一日当たりの量8.6μgが安全だとみなされることを意味する。
ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は制汗剤からのアルミニウム吸収推定量を評価した。この目的のため、健康な、またダメージを受けた肌の制汗剤からのアルミニウムの皮膚吸収に関する実験から得られたデータが使用された。健康な肌の場合に計算された全身摂取量約10.5 μgは、体重60kgの成人で安全とみなされる8.6 μg/dayを超えている。アルミニウムを含む制汗剤が日常的に使用されるなら、EFSAが決定した耐容週間摂取量を超過している。たとえば、剃毛などでダメージを受けた肌の値は何倍も高い。アルミニウムを含む制汗剤のみを日常的に使用する場合には、TWIは完全に超過するだろう。さらに、食品や調理器具、他の化粧品などほかのアルミニウム吸収源も考慮に入れなければならない。
消費者はすでに食品を通して大量のアルミニウムを摂取している。これは、一部の人口集団は食品だけでおそらく耐容週間摂取量に達していることを意味している。アルミニウムを含む化粧品の長期使用例ではTWIは常に超過しており、アルミニウムは体内に蓄積される可能性がある。だが、たとえば浸透率や慢性アルミニウム暴露の長期影響に関して、科学的不確かさはまだ存在している。
原則として、個人の摂取は減らすことができる。制汗剤やクリームのようなアルミニウムを含む化粧品は、個人の全体的なアルミニウム摂取の一因となる。そのような製品が剃った直後や傷ついた肌に使用されなければ、制汗剤によるアルミニウム吸収は著しく下げられる。あるいはアルミニウム無しの脱臭剤も使える。
一連の研究にもかかわらず、これまでアルツハイマー乳がんと制汗剤からのアルミニウム摂取増加との因果関係についての科学的根拠はない。
BfRの意見では皮膚からのアルミニウム吸収率についての研究の必要がある。さらに長期経皮暴露によるアルミニウムのリスク評価を行うためのデータがない。そのようなデータがあって初めて制汗剤やその他の化粧品からのアルミニウムのリスク評価が最終化できる。
リスクプロファイルとしては、直ちに健康影響はないが、データがあまりなく健康影響の可能性が否定できないので予防的に対策