食品安全情報blog過去記事

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消費者向け食品と製品中のアルミニウムについてのFAQ

FAQs about aluminium in food and products intended for consumers
26 February 2014
http://www.bfr.bund.de/en/faqs_about_aluminium_in_food_and_products_intended_for_consumers-191148.html
アルミニウムとその成分は多数の消費者向け食品と製品に含まれている。アルミニウムは天然に、あるいは食品添加物の一部として食品に存在する。さらに、アルミニウムイオンは、ある状況では、食品包装や食器から食品に移行することがある。
食品以外では、たとえばアルミニウムを含む制汗剤などの化粧品は、アルミニウムの重要な暴露源である。アルミニウム化合物は制汗作用があるため制汗剤に使用されている。さらに、アルミニウム成分は着色料として口紅に、フッ化アルミニウムの形で歯磨き粉に、日焼け止めにナノ粒子のコーティングとしても含まれることがある。
報道関係者と消費者双方が消費者向けの食品と製品中のアルミニウムの健康リスクについて、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)にたびたび質問をした。これをふまえてBfRはこの問題に関する最も重要な情報をまとめた。

アルミニウムとは何か?
アルミニウムは地球上に天然に存在する軽金属である。そのほか産業過程や建築資材の酸化など、他の方法で環境に放出される。

暴露経路は何か?
ヒトは、主に食品と飲料水からアルミニウムを吸収する。だが、アルミニウムは、食器や食品包装・アルミニウムでコーティングされた制汗剤などの化粧品・医薬品など、アルミニウムを含む消費財を通しても体内に入る。

アルミニウムの吸入はどんな健康リスクを引き起こすのか?
アルミニウムのハザード評価には、神経系への影響と、生殖(出生率と胎児への影響)に対する毒性、骨の発達に関する影響に焦点を当てている。
アルミニウムが食品と共に摂取される時、急性毒性は低い。少量のアルミニウムだけが体に吸収される。健康な人では、アルミニウムは腎臓を経由して排泄される。腎臓病の人は、特に慢性腎臓機能不全の人は、この排泄過程が十分機能せずにアルミニウムが体内に蓄積してしまう。だが、健康な人でも、生涯にわたって体内、特に肺と骨格にアルミニウムは蓄積する。

何故アルミニウムは食品に含まれるのか?
アルミニウムは未加工の食品にも含まれる。さらに、あるアルミニウム化合物は食品添加物としても使用される。他には、アルミニウムで作られた食品包装や食器からアルミニウムイオンが食品に移行する可能性がある。

アルミニウムは食品にどのくらい入っているのか?
2008年に発表された意見の中で、欧州食品安全機関(EFSA)は未処理の食品の典型的なアルミニウム含有量は5 mg/kg未満であると述べた。いくつかの食品(たとえば焼き菓子、各種野菜、特に茶葉と香辛料)の含有量は高めである。

健康のリスクがなく一生の間に吸収できるアルミニウムの量はどのくらい?
食品の経口摂取では、欧州食品安全機関(EFSA)は耐容週間摂取量(TWI)を1mg/kg bwと導出した。

消費者が食品から吸収するアルミニウムの量は平均してどのくらい?
2008年からの欧州食品安全機関(EFSA)による推定によると、体重60kgの成人が食品から摂取した量は一日当たり1.6〜13 mgで、これは一週間当たり0.2 〜 1.5 mg/kg bwである。

食品添加物としてのアルミニウム化合物の機能は何?
食品添加物の機能は、それを添加することで食品の特性に影響を与えたり、ある特徴をもたらすことである。
たとえば、アルミニウムは単独で食品に着色料として、お菓子の衣やケーキとファインペストリーの飾りのために許可されている。望まれた効果を得るのに必要な量以上は使われない。さらにある種の食用色素はある種の食品の製造の際にアルミニウムコーティングとして使用される。
さらに、他の技術的機能のために着色料として別のアルミニウム含有食品添加物が許可されている。
アルミニウム含有食品添加物に許可された使用状態と量に関するEU規則No. 1333/2008補遺IIのNo. 380/2012改正により、アルミニウム含有食品添加物の使用は制限されている。規則は2014年2月1日か2014年8月1日に発効する。この規則により、ケイ酸カルシウムアルミニウム、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム(カオリン)は2014年2月1日以降、食品添加物としてもはや許可されない。アルミノケイ酸ナトリウムとケイ酸アルミニウムカリウムは以前の認可と比較し、2014年2月1日以後はかなり限られた範囲でしか使用できない。少なくても2014年8月1日以降は、着色料のアルミニウムコーティングの使用は規則で規定された制限に従わなければならない。

なぜ包装や食器から食品にアルミニウムが移行するのか?
アルミニウムは酸や塩の影響で溶けやすい。このため、飲料缶、ヨーグルトカップの蓋、フルーツジュース用のアルミニウム容器のような食品に使用される包装と容器は、アルミニウムイオンが食品や飲料に移行するのを防ぐために内側の表面を覆わなければならない。
アルミ箔のアルミニウムは酸と塩を含む食品に移行しやすい。このため、BfRは酸性や塩を含む食品はアルミホイルでくるまないように勧告する。

どの化粧品がアルミニウムを含むのか?
その制汗効果のため、アルミニウムは主に制汗剤に使用される。だが、日焼け止めのナノ粒子のコーティング、口紅の着色料、歯磨き粉のフッ化アルミニウムの形でも使用される。

制汗剤とは何か?
「制汗剤」はロールオン・スティック状・クリーム・エアゾール(スプレー)として入手できる制汗効果のある化粧品である。その一方、防臭剤はアルミニウムを含まないので制汗効果はない。不快なにおいの原因である汗を分解する細菌を殺すことで効き目がある。

なぜアルミニウムは制汗剤に使われるのか?
アルミニウム化合物は制汗効果があるので制汗剤に使用される。この制汗効果はアルミニウムと接触すると肌の毛穴が閉じることでもたらされる。加えて、ゼリー状のアルミニウムタンパク質複合体は汗腺の末端を一時的に遮断する。

アルミニウムは化粧品にどれだけ含まれるのか?
BfRの情報によると、約20%のクロルヒドロキシアルミニウムが一般的に制汗剤に使用される。これはアルミニウム約5%に相当する。BfRは他の化粧品に使用される濃度に関するデータを全く持っていない。

制汗剤の使用によって消費者が吸収するアルミニウムの量はどのくらい?
現在入手できるデータに基づき、アルミニウムを含む制汗剤から吸収される推定量は、食品からの一日当たりの摂取量約10 mgに相当する。
体重60 kgの成人にとって、これは一週間に体重1kgあたりおよそ1.2 mgの経口摂取に相当するだろう。これは、アルミニウムの耐容週間摂取量(TWI) 1mg/kgを、アルミニウムを含む制汗剤の毎日一回の使用で使い切ってしまうことを意味する。定期的にアルミニウムを含む制汗剤を使用する人は、アルミニウムが食品・化粧品・調理器具やアルミ箔など食品と接触するアルミニウムを含む器具からさらに吸収されていることを考慮するべきである。
アルミニウムの耐容週間摂取量(TWI)は、健康上の有害影響なくヒトの全人生を通して毎週摂取できる量を示している。
ゆえに毒性学的観点から、アルミニウムの総摂取量は、耐容週間摂取量(TWI)を定期的に超えるべきではない。この限度の固守を確実にするためにアルミニウムの総暴露量をさらに減らすべきである。最近の知見によると、総暴露量はアルミニウムを含む制汗剤と他のアルミニウムを含む化粧品によって著しく増加する。暴露を減らすことに加え、この目的の達成を確実にするために、食品と化粧品の分野でリスク管理対策をとるべきである。

化粧品にはアルミニウム成分を含むという警告があるか?
アルミニウム化合物は化粧品の容器に成分として表示されなければならない。

アルミニウム摂取とアルツハイマー病に関係はあるのか?
様々な研究でアルミニウムの摂取とアルツハイマー病の関係を示そうとしてきた。だが、データは不完全で、そのような関係のしっかりした科学的証拠にはなっていない。

アルミニウムを含む制汗剤の使用と乳がんに関係はあるのか?
これまで、制汗剤からのアルミニウムの摂取と乳がんの因果関係についての科学的証拠はない。

そのような関連が示唆されたのは乳がん患者の組織と分泌物のアルミニウム含量が健康な女性の組織と分泌物より高いことを示した研究による。疫学的症例研究1件でもアルミニウムを含む制汗剤の使用と乳がんの発生の相関関係が見つけられた。だが、2件の他の疫学研究ではそのような関連は全くみられなかった。

データに一貫性はなく、ある場合は矛盾している。この問題に最終的に答えを出すにはさらなる調査が必要である。マウスの実験では、高濃度のアルミニウムが使用された時でも腫瘍は観察されていない。

アルミニウムの摂取を減らすために何ができるか?
消費者はすでに食品を通して多量のアルミニウムを摂取している。これは、人々の一部は食品だけで耐容週間摂取量に達していることを意味する。アルミニウムを含む化粧品の長期使用例では、個人レベルで、耐容週間摂取量を常に超過している。
原則として、個人の摂取量は減らすことができる。制汗剤やクリームのようなアルミニウムを含む化粧品はヒトの総アルミニウム摂取の一因である。剃毛後など、ダメージを受けた腋の下の肌にすぐにそのような製品を塗らなければ、制汗剤によるアルミニウムの摂取は相当低くできる。さらに、アルミニウム塩を全く含まない防臭剤は市場で入手可能である。
BfRの意見では、アルミホイルやアルミニウムのグリル皿、コーティングされていないアルミ皿の誤った使用による不必要なアルミニウム摂取は避けることができる。酸と塩の影響でアルミニウムの溶解性が増すことから、そのような製品は特に酸味や塩分の多い食品の保管や包装として使用されるべきではない。たとえばリンゴソース、トマトピュレ、塩漬けニシンなどの食品を含む。